人事労務

傷病手当金の支給期間通算の実務ポイント

税理士 / 坂根 崇真(秋田税理士事務所)

【肩書】 秋田税理士事務所 代表税理士、㈳全国第三者承継推進協会 理事、㈱坂根ホールディングス代表取締役 【著書】 会社を立ち上げる方法と7つの注意点 相続実務のツボとコツがゼッタイにわかる本 (出版社:秀和システム) 【メディア実績】 Yahoo!ニュース、livedoor ニュース、Smart News、幻冬舎GOLD ONLINE 、現代ビジネス ほか

私傷病により働くことができず、給与が支給されないときに受給できる健康保険の傷病手当金ですが、支給される期間について、支給が開始された日から起算して最長1年6ヶ月となっているものが、2022年1月より傷病手当金が支給された期間を通算して1年6ヶ月に変わります。

今回、厚生労働省より「傷病手当金及び任意継続被保険者制度の見直しに関するQ&A」が示されたことから、この中から押さえておきたい実務ポイントをとり上げます。

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[1]支給期間・支給満了日の考え方

今回の改正により、傷病手当金の支給期間は、支給が開始された日から通算して1年6ヶ月となり、3日間の待期期間を経て、支給を始める4日目より暦に従って1年6ヶ月の計算を行います。
以下のケースをもとに、具体的に傷病手当金の支給期間・支給満了日の考え方を確認します。

【ケース】 2022年3月1日より労務不能となり傷病手当金を請求するケース

  1. 2022年3月1日~4月10日 支給期間:38日間
  2. 2022年4月11日~4月20日 支給期間:10日間
  3. 2022年5月11日~6月10日 支給期間:31日間

このケースでは、2022年3月1日から3日までの3日間は待期期間となり、2022年3月4日が傷病手当金の支給開始日になります。そして、支給期間は2022年3月4日から暦に従って1年6ヶ月の計算を行うことになり、2023年9月3日までで、日数は549日間になります。

支給された期間として1.の支給(38日間)を受給すると、残りの支給日数は511日(549日-38日)となり、2.の支給(10日間)では残りの支給日数が501日(511日-10日)、3.の支給(31日間)では残りの支給日数は470日(501日-31日)となります。

[2]傷病手当金を2022年1月時点で受給していた場合の取扱い

2021年12月31日以前に傷病手当金を受給していた場合の取扱いは、2021年12月31日で支給開始日から1年6ヶ月間が経過しているか否かで決まります。

2020年7月1日以前が支給開始日の場合、2021年12月31日で1年6ヶ月以上が経過しているため、2022年1月1日以降、再び同一傷病で労務不能となったときでも傷病手当金の支給は行われません。

2020年7月2日以降に支給開始日がある場合、2021年12月31日において1年6ヶ月経過していないため、2022年1月1日以降、傷病手当金を受給することが可能です。

例えば、2020年7月2日~7月31日までの30日間について傷病手当金が支給されていた場合、2020年7月2日から2022年1月1日までの549日が支給期間であり、2022年1月1日時点で、既に30日分の傷病手当金が支給されているため、2022年1月1日時点の受給できる最大の支給日数は519日となります。

従業員が私傷病で傷病手当金を申請する場合、会社で説明しているケースも多いと思います。過去に傷病手当を受給していた場合にも、今回の改正内容が関係することから、内容を理解し、従業員に説明できるようにしましょう。

参考リンク:

厚生労働省「令和4年1月1日から健康保険の傷病手当金の支給期間が通算化されます」

法令等データベースサービス「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律による健康保険法及び船員保険法改正内容の一部に関するQ&Aの送付について」

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

文書作成日:2021/12/07

  • この記事を書いた人

税理士 / 坂根 崇真(秋田税理士事務所)

【肩書】 秋田税理士事務所 代表税理士、㈳全国第三者承継推進協会 理事、㈱坂根ホールディングス代表取締役 【著書】 会社を立ち上げる方法と7つの注意点 相続実務のツボとコツがゼッタイにわかる本 (出版社:秀和システム) 【メディア実績】 Yahoo!ニュース、livedoor ニュース、Smart News、幻冬舎GOLD ONLINE 、現代ビジネス ほか

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