2021年7月、厚生労働省より「令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況」の集計結果(以下、「集計結果」という)が発表されました。
個別労働紛争解決制度とは、個々の労働者と事業主との間の労働関係に関する紛争について実情に即した迅速かつ適正な解決を図るためのものであり、具体的には、都道府県労働局内や労働基準監督署内に設置された総合労働相談コーナーでの総合労働相談、都道府県労働局長の助言・指導制度、紛争調整委員会のあっせん制度の3つの仕組みがあります。
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1.集計結果の内容
今回の集計結果をみると、令和2年度に寄せられた総合労働相談件数は1,290,782件と13年連続で100万件を超え、高止まりとなっています。また、労働基準法上の違反を伴わない解雇、労働条件の引下げ等のいわゆる民事上の個別労働紛争に関する相談は278,778件と前年度比で0.2%減少したものの、依然として多くの相談が寄せられていることが分かります。
このうち過去10年間の主な個別労働紛争の動向をグラフ化したのが下図になります。内容別で見ると、トップは「いじめ・嫌がらせ」に関する相談で、79,190件となっています。
労働施策総合推進法改正の影響で集計方法が変更されたこともあり、前年度比で9.6%の減少となってはいますが、不動の首位となっています。また、「解雇」「労働条件の引き下げ」「退職勧奨」については、コロナ禍の影響もあり前年度より増加しています。
2.パワーハラスメントの防止措置
「いじめ・嫌がらせ」は、近年、職場で問題視されているパワーハラスメントも含まれています。このパワーハラスメントの防止措置は、2020年6月より大企業に義務付けられ、2022年4月より中小企業にも義務付けられます(それまでは努力義務)。
主な防止措置は以下の3点となり、大企業については対応ができているか確認し、問題があれば改善を行い、中小企業については今後、準備を進めましょう。
- 事業主の方針等の明確化およびその周知・啓発
- 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
- 職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
長引く新型コロナウイルス感染症の影響により、解雇や労働条件の見直し等を検討せざるを得ない企業も少なくありません。雇用主として慎重な対応が求められることから、何かお困りごとがございましたら秋田税理士事務所グループ提携の社会保険労務士がサポートいたします。
参考リンク:
厚生労働省「「令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表します。」
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
文書作成日:2021/08/03