源泉所得税の税務調査では、誰に、何の対価を、いつ、いくら支払い、必要な源泉徴収と納付をどう処理したかを確認します。会社や事業の所得計算が合っていても、支払側の源泉徴収が全て正しいとは限りません。
給与、賞与、外注費、専門家への報酬、役員との支出等は、条件を分けて確認します。秋田税理士事務所には元国税調査官の税理士が在籍し、支払資料と帳簿・納付記録の照合から税務署への対応まで支援します。通知内容と現在の処理をお知らせください。
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法人税・所得税と、支払者の源泉徴収を混同しない
源泉徴収は、一定の所得を支払う人が、支払時に所得税等を差し引き、国へ納付する仕組みです。支払先が自分で確定申告することと、支払者側に源泉徴収義務があるかどうかは別の確認です。
給与として処理していない支払も、実態によって給与かどうかを確認する必要があります。一方、個人へ支払った全ての外注費・報酬が、同じように源泉徴収の対象になるわけでもありません。支払者、相手の区分、仕事内容、対価の性質等を整理します。
調査の連絡では、源泉所得税が対象に含まれるか、どの支払期間のどの所得を確認するかを確かめます。法人の決算期だけで対象月を推測せず、通知された税目・期間を記録してください。
給与・報酬の調査準備を、五つの照合に分ける
源泉所得税の資料をまとめる際は、給与ソフトから一年分の合計を出すだけでなく、支払の事実から納付までをつなげます。所得の区分、計算の条件、支払月、徴収、納付のどこに違いがあるかを分けると、調べるべき資料を絞れます。
| 照合の段階 | 比較するもの | 見つかる違いの例 |
|---|---|---|
| 支払の存在 | 給与・報酬台帳と振込・現金記録 | 支給漏れ、追加支給、別口の支払 |
| 所得の区分 | 契約・業務・支給目的と科目 | 外注と給与、精算と手当の取り違え |
| 計算条件 | 対象年の表・申告書とソフト設定 | 適用区分、人数、支給項目の違い |
| 帳簿 | 徴収額と預り金の仕訳 | 連携・手入力の重複、入力漏れ |
| 納付 | 徴収高計算書・納付と対象月 | 未納、対象期間・調整の相違 |
前の段階の誤りが後の段階へ影響している場合もあります。例えば、手取額を総支給額として台帳へ登録していれば、税額と帳簿の双方を確認する必要があります。納付額だけを帳簿へ合わせて終えないようにします。
仮例:総支給・控除・手取を分けて確認する
総支給30万円、源泉所得税等1万円、その他の控除4万円、手取25万円という仮例を考えます。これは数字のつながりだけを説明するもので、給与30万円の実際の税額を示していません。対象年・本人の条件等に応じて別に計算が必要です。
| 項目 | 仮の金額 | 確認すること |
|---|---|---|
| 給与総額 | 300,000円 | 支給項目と実際の支払 |
| 源泉所得税等 | 10,000円 | 年分・区分等と計算 |
| その他の控除 | 40,000円 | 社会保険料等の内訳 |
| 給与の手取 | 250,000円 | 給与台帳と振込の一致 |
振込が26万円だった場合、差の1万円を直ちに追加給与や立替精算と決めません。経費精算を同時に振り込んだのか、前月の訂正か、入力誤りかを確認します。精算なら元の購入・業務資料、訂正なら対象と計算根拠を残します。
源泉徴収した額は、預り金等の帳簿と、実際の納付記録へ対応させます。帳簿に一万円あるだけで納付した証明になるわけではなく、銀行の支払だけがあっても、どの期間・税目へ納めたかを確認する必要があります。
年末調整の差額を、普段の給与と区別して照合する
年末調整を行った場合は、年中の徴収額と年税額の計算、還付・追加徴収の記録、給与への反映、徴収高計算書との関係を確認します。差額があるから直ちに納付漏れというわけではありませんが、どの調整が残高へ影響しているかを説明できることが大切です。
調査対象年の扶養控除等申告書、保険料控除等の資料、入退社や他の給与の記録等を整理します。現在の条件や今年の税額表へ置き換えず、対象年に受け取った書類とその年の取扱いを確認します。
年末調整の修正をした場合は、元の計算、修正理由、対象者への支払・徴収、その後の帳簿・納付を対応させます。給与ソフトの計算だけ直した状態と、本人への精算や納付まで行った状態を分けて管理します。
給与ソフトを変更した年・担当者が交代した年
途中でソフトを変更した場合は、旧ソフトの期間と新ソフトの期間、累計の引継ぎ、対象者の区分や設定を確認します。両方のソフトで同じ月を集計していたり、旧ソフトの最終月が抜けたりしていないかも点検します。
従業員番号が変わった、氏名表記が変わった、退職後に再入社したなどの場合は、同じ人を二人と扱わず、別人を一人へまとめないようにします。支払期間と本人ごとの記録を対応させ、振込と台帳へ戻れるようにします。
前任者の説明が得られない場合も、残る台帳、申告書、支払・納付記録、届出等から確認できる範囲を整理します。「前の担当者がやったから分からない」で止めず、どの資料があり何が未確認かを当事務所へお知らせください。
外注先ごとの確認表を作る
外注費の中に源泉徴収の対象となり得る支払がある場合は、相手・業務・支払ごとに確認します。同じ「業務委託料」でも、仕事内容や相手の区分、契約・働き方等が違う場合があります。一律の率を全てへ掛ける前に、対象所得かどうかを特定します。
| 相手ごとに残す項目 | 整理する内容 |
|---|---|
| 相手の区分 | 個人・法人、居住者区分等の確認 |
| 業務の中身 | 何を、どの契約・条件で依頼したか |
| 支払 | 請求総額、内訳、支払日、実際の振込 |
| 源泉の処理 | 対象判断、計算、徴収・納付の記録 |
| 追加確認 | 実費、立替、国外取引、給与との区分等 |
給与との区分の詳細は関連する親記事で確認し、この表はその事実を支払・徴収・納付へつなぐために使います。相手が確定申告をしているという説明も、そのまま支払者の徴収義務をなくす根拠として扱わず、必要な手続きを確認します。
納付漏れを調べる、月別の残高確認
月初の預り金残高に当月の徴収・調整を反映し、当月の納付等を対応させて月末残高を確認します。これは帳簿の内訳を点検するための整理で、法定の税額計算を代替するものではありません。納期の特例の適用がある場合も、各月の内訳を残します。
長く残る残高があれば、何月の誰の徴収分か、年末調整等の調整か、納付済みなのに帳簿が未反映なのかを確認します。残高がゼロでも、給与から差し引いた数字と納付額の両方に同じ漏れがあれば気付きにくいため、給与・報酬の台帳との照合も必要です。
税務署へ既に納付している額と指摘額が違うときは、納付日、対象期間、徴収高計算書の内容、税目を確認します。別の期間の納付を同じ分へ二重に充当したつもりにしたり、対象が不明な支払を源泉納付と決めたりしないようにします。
指摘と訂正を、対象者・支払月・税目へ分けて記録する
追加の確認や納付が必要になった場合は、誰のどの支払が対象で、計算の前提をどう直し、既に何を徴収・納付したかを一覧にします。税務署から説明された税額や理由と、自社の資料のどこが一致し、何が未確認かを分けます。
支払先へ連絡する必要がある場合も、税務署への手続きと相手との精算の関係を整理してから進めます。相手の申告をこちらだけで直したつもりにせず、具体的に何を確認するかを明らかにします。当事務所が資料と税務上の検討を踏まえ、受任範囲に応じて対応をご案内します。
調査後は、給与・報酬の締め、計算、確認、納付の担当と完了記録を決めます。支払の前提が変わるときに情報を共有し、納期限が近付いてから初めて対象や税額を調べる状態を減らすため、日々の経理と税務対応をつなげます。
最初にそろえる、支払と納付の資料
| 資料 | 確認する内容 |
|---|---|
| 給与台帳・賃金台帳 | 対象者、支給項目、総支給、控除、実際の支払 |
| 源泉徴収簿等 | 月ごとの税額、税額表の前提、年末調整 |
| 扶養控除等申告書等 | 提出状況、適用する年分・条件 |
| 振込・現金払いの記録 | 支払日、受取人、台帳との一致 |
| 報酬の契約・請求 | 仕事の内容、相手、支払額、源泉の有無 |
| 徴収高計算書・納付記録 | 対象期間、税額、納付日 |
| 届出・承認関係 | 納期の特例、事業所や支払体制の変更 |
給与ソフトを途中で変えた、経理担当者が交代した、外部へ一部だけ任せている場合は、その期間と分担もお知らせください。ソフトの集計表があるだけで、実際の支払と納付まで一致しているとは限りません。
給与は総額・手取・預り金を分けて照合する
給与の振込額は、総支給額から所得税等・社会保険料等を差し引いた手取額である場合が一般的です。銀行の支払額だけを給与総額へ転記すると、帳簿や給与台帳との関係を説明できなくなることがあります。
対象者ごと・支給月ごとに、支給、控除、手取、預り金の計上と納付を確認します。未払がある場合や、支給後に金額を訂正した場合も、実際の支払と修正内容を残します。
賞与、手当、立替精算、現物による利益等も、名称だけで同じ処理にはしません。出張費や経費精算の中に私的な支出が含まれるなど、支給の実態が違う場合は、根拠資料と支給ルールを確認します。
仮例:台帳の手取と振込額が2万円違う
差の2万円が、立替精算、前月の調整、別の支給、単なる入力誤りのどれかで、確認が異なります。差額を自動的に非課税の精算とするのではなく、購入資料や精算書、支給の合意、帳簿を照合します。この例は確認手順の説明で、税額計算の例ではありません。
税額表や申告書は、その支払年分のものを確認する
源泉徴収の計算では、支払った年分の税額表、給与の支給方法、扶養控除等申告書の提出状況などを確認します。前年の設定をそのまま使ったり、過去の調査対象へ現在の税額表を当てはめたりしないことが必要です。
複数の勤務先がある人、年の途中の入退社、扶養等の変更がある人については、受け取った申告書や証明書、実際の支給を対応させます。年末調整を行ったか、その対象だったかも別に確かめます。
ソフトが計算していても、扶養人数や区分、支給項目等の入力に誤りがあれば結果が変わります。当事務所へは、計算結果だけでなく設定・変更の記録と対象期間をお知らせください。
外注費と給与の違いを指摘されたとき
契約書が業務委託、請求書が外注費という名称でも、それだけで給与との区分が決まるものではありません。指揮監督、仕事の独立性、報酬の性質、負担する費用等、実際の働き方と契約を確認します。
誰のどの支払が問題なのかを分け、全ての外注先を一括で同じ結論にしません。源泉徴収と、消費税の仕入税額控除等への影響も別に整理します。支払先が確定申告済みという説明だけで、支払者の確認が全てなくなると考えないことが大切です。
詳しくは外注費か給与かを税務調査で指摘された場合もご参考ください。本記事では、区分を確認した後の徴収・納付・資料の照合へ重点を置いています。
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専門家等への報酬は、対象と計算条件を確認する
個人の専門家や外注先への報酬には、源泉徴収の対象になる一定のものがあります。ただし、個人宛てなら全て対象、法人宛てなら全て同じ扱い、とは一律に整理できません。相手の区分、仕事の種類、支払条件等を確認します。
請求総額、源泉徴収した額、実際の振込を対応させます。消費税額の記載、交通費等の実費、立替等が含まれる場合は、その性質と取扱いを確認します。一般的な率を全ての支払へ掛ける前に、対象所得と計算方法を特定することが先です。
海外の相手への支払や非居住者等の関係がある場合は、国内の給与・報酬と同じ計算を無条件に適用せず、取引内容や居住者区分、租税条約等を含めて別に検討します。この記事の一覧だけで個別の徴収要否を決めないでください。
納付期限と納期の特例を確認する
源泉徴収した所得税等は、原則として実際に支払った月の翌月10日までに納付します。一定の要件を満たし納期の特例の適用を受ける場合には、対象となる給与等や一定の報酬について、半年分をまとめて納付します。
| 納付の区分 | 基本となる期限 | 確認すること |
|---|---|---|
| 原則 | 支払月の翌月10日 | 実際の支払月、対象税額、納付記録 |
| 納期の特例の対象・1〜6月分 | 7月10日 | 承認・適用開始、対象所得か |
| 納期の特例の対象・7〜12月分 | 翌年1月20日 | 全ての報酬が対象ではないこと |
期限が土曜日、日曜日、祝日等に当たる場合は休日明けになります。給与の支給人員が常時10人未満などの要件に加え、申請・適用開始、対象所得を確認します。「従業員が少ないから、申請していなくても全支払を半年ごとに納めればよい」という制度ではありません。
人員が増えた、申請したばかり、給与以外の報酬もあるという場合は、その前提を伝えてください。納期の特例は納付をまとめる制度で、給与等を支払う際の徴収や月ごとの計算を省略できるものではありません。
徴収した額と、実際に納めた額が合わない場合
月ごとの預り金残高と、支払・徴収・納付を順番に確認します。決算時に残高があるだけで納付漏れとは限りませんが、前年から同じ残高が残る、対象期間が分からないなどの場合は内訳を調べます。
納付記録には対象月と税額、実際の納付日を対応させます。年末調整による還付や調整等がある場合は、給与側の計算と徴収高計算書の関係を確かめます。残高をゼロにするためだけに雑収入や費用へ振り替えて終えないようにします。
| 差が生じる場面 | 照合する内容 |
|---|---|
| 台帳の徴収額と帳簿が違う | 仕訳の対象者・月、手入力・連携の重複 |
| 帳簿と納付額が違う | 対象期間、未納、調整・記入誤り |
| 支払漏れ・追加支給がある | 実際の支払、修正台帳、その後の納付 |
| 前任者の資料がない | 残る納付控え、e-Tax等の記録、給与データ |
過去の納付漏れや徴収不足が分かったら
対象者、所得の種類、支払日・額、本来の税額、徴収・納付済額を整理します。調査で指摘された金額についても、期間と根拠を確認し、別の税目の指摘と混ぜないようにします。
不足があれば、必要な納付や手続き、支払先との精算等を検討します。加算税・延滞税等は事実と要件によって扱いが異なり、「すぐ払えば必ず追加負担はない」「支払先が申告していれば何もしなくてよい」とは言えません。
当事務所では、過去の資料と通知・指摘内容から確認事項を整理し、税務署とのやり取りを進めます。資金が不足する場合も、その状況をお伝えください。調査後の納税資金と納期限の整理もご参考ください。
源泉所得税の調査について、よくあるご質問
赤字の会社にも源泉所得税の確認がありますか?
会社の利益と、給与・報酬の支払に関する徴収義務は別の確認です。赤字だから全て不要と判断せず、誰に何を支払ったかを整理します。
退職した従業員の分も資料が必要ですか?
対象期間の支払が確認事項なら、退職済みでも当時の給与・控除・支払・納付の記録を確認します。現在の在籍者だけで集計しないようにします。
税理士へ依頼すると、何を任せられますか?
当事務所が、通知と資料の照合、会計・税務の検討、税務署との対応を受任範囲に応じて進めます。ご本人・給与担当者には実際の支払や雇用・業務の事実確認をお願いします。資料が途中まででも、まず現在の状態からご相談ください。
給与の対象月と、実際の支払月を分ける
給与台帳の「3月分」が、3月に支払った給与なのか、3月勤務分を4月に支払った給与なのかを確認します。月の名前だけで納付期間へ集計すると、支払月に基づく計算との間でずれる場合があります。実際の支給日と、どの期間の仕事への給与かを別の欄へ残します。
支給が遅れた、一部だけ払った、後から追加したなどの事情は、その実際の支払記録と計算を確認します。役員賞与等には別途確認する取扱いもあるため、全ての未払に同じ結論を当てはめません。対象所得と支払状況を当事務所へお知らせください。
納期の特例を申請した直後は、適用開始を確かめる
納期の特例は、原則として申請書を提出した月の翌月に源泉徴収するものから対象になります。却下の通知がなければ翌月末日に承認があったものとみなされる取扱いと、実際の適用期間を区別して確認します。
例えば2月に申請した場合、給与等の2月支給分までを当然に7月へまとめられるとは限りません。申請の控え、提出時期と各月の支払を確認し、毎月納付分と特例の対象になる分を分けます。承認を受けた後も、特例の対象外の報酬を一緒にまとめていないかを点検します。
人員が増えて要件に該当しなくなったときは、必要な届出とその期間の納付を確認します。過去の設定が残ったまま年末まで続けず、変更があった月と事実を経理・給与担当と共有してください。
過去の支払先へ確認が必要な場合、連絡内容を整理する
源泉徴収の不足が見つかったとき、支払者と受取側の計算・精算が関係する場合があります。ただし、調査の指摘額だけを根拠に、支払先へ直ちに同額の支払を求めれば解決するとは限りません。支払の性質、本来の徴収額、既に行った処理、契約や精算の関係を整理します。
税務署へ納付する義務の確認と、支払先とのやり取りを分け、誰が何を確認し、どの数字を説明するかを決めます。経理担当者が推測で税額を伝えたり、相手の申告内容を勝手に変更したことにしたりしないようにします。当事務所が、対象者・月・支払ごとの資料をもとに対応を検討します。
今後の支払前に確認する項目を決める
新しい個人外注先への支払や、給与の新しい手当を作る際は、支払直前になってから税務区分を考えるより、相手の区分、仕事内容、請求の内訳、支給目的等を事前に共有する流れを作ります。請求書の名称だけで処理を自動確定させないことが大切です。
毎月の確認では、給与・報酬の担当と、会計へ登録する担当、徴収高計算書を作る担当、実際に納付する担当の間で、対象期間と税額を照合します。誰かが納付したはずという状態を残さず、完了の記録まで確認できる分担をご案内します。
給与担当者が一人で抱えず、当事務所へご相談ください
初回相談は無料です。税務署の任意調査対応の着手金の掲載額は法人30万円・個人20万円です。過年度申告作成や成功報酬等を区別し、税務調査サービスの料金に基づいて、ご依頼範囲と消費税込みの支払総額をご説明します。
給与台帳、契約・請求、納付記録、通知内容をお知らせください。調査への説明を整理するとともに、今後は支払・確認・納付を誰がいつ行うかを明らかにします。税務顧問・経理支援を含めた分担もご案内します。
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