食品添加物や洗剤に消費税の軽減税率(8%)は適用される?新宿の税理士が解説
2019年10月1日から、消費税の増税が行われます。
弊社の顧問先の多くの方々も、顧客から消費税の軽減税率(8%)対象取引があるか否かについて問い合わせがあったことをきっかけとして、システム対応に迫られています。
この記事では、消費税の軽減税率(8%)対象となる飲食料品について新宿の税理士 坂根が解説します。
<ポイント>
- 食品衛生法に規定する食品添加物に該当する場合、食品として扱われ、8%になる可能性が高い
- 食品添加物が8%の軽減税率の対象になるかは、販売側が、人の飲用又は食用に供されるものとして販売したかどうかで判断する
- とはいえ、洗剤のように、明らかに飲食料品でないものを人の飲用と言い張る(8%とする)のは無理がある
食品添加物は消費税の軽減税率(8%)の対象となるか
食品添加物は消費税の軽減税率(8%)の対象になるもの、ならないものどちらもあります。
消費税の軽減税率の対象になるのは新聞の定期購読と飲食料品のみです。
そして、食品添加物も飲食料品に含まれます。そのうち、食品衛生法に規定する食品添加物に該当する場合、8%になる可能性が高いと考えられます。
可能性が高いというのは、飲食料品が消費税率8%に該当するかどうかは、販売側が、人の飲用又は食用に供されるものとして販売したかどうかによって取り扱い(8%、10%)が異なるためです。
食品添加物の消費税軽減税率判断基準のポイントを2つ解説します。
<ポイント>
- 軽減税率の対象になるかは、相手方(購入者)の用途は関係ない
- 飲食料品の範囲は常識の範囲内で判断しましょう
1.軽減税率の対象になるかは、相手方(購入者)の用途は関係ない
食品添加物が軽減税率の対象になるかどうかは、販売する側が飲食料品として販売しているかどうかで判断します。
実際の取引の場面においては、会社間又は販売側で8%になると決める場合が多く見受けられますが、相手(購入者)がどのように扱うかは考慮する必要がありません。
「国税庁:消費税の軽減税率制度に関するQ&A 問21」が参考になります。
<ポイント>
食品添加物を化粧品のメーカーに販売した場合でも、食品添加物として8%で取り扱うこととされている(国税庁:消費税の軽減税率制度に関するQ&A 問21)ように、相手方の用途は関係なく、品目や会社側で決めて消費税率8%か10%かの判断を行います。
軽減税率の対象になるかどうか、「相手方の用途で判断しているケースも多くある」という話は耳にしますが、相手が「食用」として使用するか、「工業用」として使用するかなどの、相手方の用途は関係ないとされているため、軽減税率の対象になるかどうかは売り手側で決める問題であると考えられます。
2.飲食料品の範囲は常識の範囲内で判断しましょう
飲食料品(8%の軽減税率の対象)に該当するかどうかは、売り手側で決める問題ですが、とはいえ、常識の範囲内で判断しましょう。
消費税の軽減税率(8%)の対象となるものは食品表示法上で具体例がリストアップされておらず、実は、例えば食品衛生法など、飲用される法令のみリストアップされています。
従って、飲食料品に該当するかどうかというのは判断が難しいです。そのため、国税庁のQ&A等で判断できない場合は会社側で飲食料品か否か決めてしまうことも考えられます。
しかし、決めてしまえば何でも認められるというわけではなく、例えば洗剤は口に入ってもいいようにできているから8%とするのは悪い決め方であり、実際に飲食料品であるか否かについては、常識の範囲内で判断を求められることになると考えます。
参考:消費税の軽減税率(8%)の対象になるものは?
消費税の軽減税率(8%)の対象となる取引は、飲食料品と新聞です。
上記のうち、軽減税率の対象となる飲食料品は、食品表示法に規定する食品(この中に、食品衛生法に規定する「添加物」を含む)とされています。
消費税は消費税法上に規定をせず、他の法律に依拠するケースが多くあり、軽減税率についても他の法律に定義等を依拠しています。
つまり、消費税の税率を検討する際は、食品表示法を確認する必要があります。
消費税の仕組みはとても複雑であり、誤ると罰金を支払うことになったり、顧客からのクレームを受けることにつながります。
しっかりと税理士に相談して、経営を行っていきましょう。
弊社では、外資系企業や上場企業の子会社などを担当してきた経験を持っている税理士が対応していますので、安心してご依頼いただくことが可能です。