税務調査

税務調査で電子データを求められたら?メール・PDF・会計ソフトの保存と提出準備

税理士 / 坂根 崇真(秋田税理士事務所)

【肩書】 秋田税理士事務所 代表税理士、㈳全国第三者承継推進協会 理事、㈱坂根ホールディングス代表取締役 【著書】 会社を立ち上げる方法と7つの注意点 相続実務のツボとコツがゼッタイにわかる本 (出版社:秀和システム) 【メディア実績】 Yahoo!ニュース、livedoor ニュース、Smart News、幻冬舎GOLD ONLINE 、現代ビジネス ほか

税務調査で会計データや電子の請求書を求められた場合は、必要な期間・取引・項目・提出方法を確認し、元データを保存したうえで対応します。見やすくした一覧表だけを出せばよい、反対にパソコンや全アカウントを無条件に渡すしかない、という二択ではありません。

特に、電子で受け取った請求書等を印刷して、元のPDFやメールを消している場合は、取引時期と適用される保存制度、残っている資料を分けて確認する必要があります。紙とデータのどちらかを整えれば、すべての税目の要件が同時に満たされるわけではありません。

秋田税理士事務所では、元国税調査官の税理士が在籍し、税務署から求められたデータと、会計・取引記録のつながりを整理して対応します。CSV、PDF、メールがばらばらになっている方も、今どこに何が残っているかからお知らせください。

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税務調査の資料提出と、日々の保存義務を分ける

税務調査で何を提示・提出するかという問題と、日々の記録をどの要件で保存するかという問題は関係しますが、同じではありません。求められた形式で提出できても、保存の状況に別の確認が必要なことがあります。

反対に、保存方法に不備があるから、実際の取引を説明することまで諦める必要はありません。申告の数字、取引の事実、保存制度の要件を、それぞれ確認していきます。

確認の軸 整理したいこと 混同しないこと
取引の内容 相手、日付、金額、商品・役務、支払 データがあるだけで事業経費とは決まらない
帳簿との対応 売上・仕入・経費の記録と元資料 会計入力だけで元の請求書等に代えない
保存の要件 制度区分、対象時期、保存方法 紙をPDFにしたものと電子で受け取ったものは別
調査への提示・提出 対象範囲、方法、控え、説明 一覧表の加工と元記録の書換えは別

電子帳簿・スキャナ保存・電子取引の違い

会計ソフトで作った帳簿を電子保存する場合、紙の領収書等をスキャンして保存する場合、PDFやメール等で受け取った取引情報を保存する場合では、適用される制度が異なります。

例えば、紙で受け取った領収書を写真にしたことと、販売サイトから領収書PDFを取得したことは同じではありません。紙を廃棄できるか、データをどう残すかを、一つのルールで判断しないようにします。

本記事は、税務調査で実際に提示・提出する場面を中心に説明します。会計ソフトの設定変更や、紙の原本の廃棄は、保存制度と現在の運用を確認してから行ってください。調査の範囲全体は、パソコン・通帳等の現物確認もご参考ください。

電子で受け取る・送る取引資料を洗い出す

電子取引は、メール添付の請求書だけではありません。販売サイトや取引先の専用ページ、クラウド、決済サービス等で取引情報を授受する場合も、内容に応じて確認します。受領したものに加え、交付したデータにも注意します。

やり取りの方法 見つけたい資料の例 保存場所の確認
メール 請求書PDF、取引条件を記載した本文 添付だけか本文にも取引情報があるか
取引先サイト 請求、納品、支払通知 閲覧期限、ダウンロードの可否
ネット販売・決済 注文、売上、手数料、返金、精算 一つの画面で全部分かるか
ネットバンキング 振込等の取引情報 取得できる期間と明細の項目
従業員の立替 電子領収書、利用明細等 個人端末から会社へ集める方法

すべてのメールや個人端末の全データを一律に保存対象とするのではなく、取引情報の内容と制度の対象を確認します。どの資料に日付・金額・相手・取引内容があるかを把握することが、調査の準備にもつながります。

紙に印刷している場合も、元データを確認する

電子取引については、原則として取引データを電子のまま保存する必要があります。2024年1月以後の取引を、昔の紙出力の運用がそのまま続けられると考えないようにします。

一方、検索要件の緩和や、相当の理由がある場合の猶予措置等には、それぞれ条件があります。猶予措置もデータ自体を保存しなくてよいという意味ではなく、ダウンロードや出力書面の提示・提出の求めに対応できること等を確認します。

取引の時期によって、経過措置や要件が異なる場合があります。調査対象の数年分を、現在の一つの運用だけで説明しようとせず、各期間の保存状況を一覧にします。

画面で見せることと、データを提出すること

税務調査では、電子の記録について、画面上で内容を確認できる状態にして提示する方法や、出力した書面、データのコピー等による提出があり得ます。e-Taxやオンラインストレージ、メール等を使う取扱いもあります。

どの方法を取るかは、対象資料、確認する内容、提出方法についての説明を踏まえて確認します。「画面に一瞬表示したから提出も完了した」と考えたり、逆に必要な範囲を確認せず全期間のデータを送ったりしないようにします。

電子データの取扱いについて説明を受け、誰に、どの方法で、何を渡すかを記録します。通常の税務調査への対応でも、必要な資料を削除したり、実際とは違う記録に置き換えたりしてはいけません。

提出準備の手順:元データを残してから作業する

1.依頼の対象を文章にする

税目、年分・事業年度、取引先、データの種類、必要な項目、期限をメモにします。対象が曖昧なら、何を確かめるための資料かを確認します。

「会計データ」と言われた場合も、元帳、仕訳、補助科目、残高等のどの内容が必要かを整理します。ソフトの名前だけでは、求められている内容が決まりません。

2.元の状態を保存する

作業前の会計データ、ダウンロードした元のCSV、受信したPDFやメール等を、作業用のコピーと分けて保管します。どの時点の記録を確認したかが分かるようにします。

新しい出力を古いファイルへ上書きすると、最初に提出した数字や、訂正前の状態を後から説明しにくくなります。版と保存場所を分ける運用が有効です。

3.抜け・重複・対象期間を確認する

対象月のファイルがすべてあるか、同じ月を二度読み込んでいないか、取引日と入金日のどちらで抽出したかを確認します。合計額だけでなく、行数、開始・終了日、通貨等も点検します。

4.帳簿と照合して、提出する版を記録する

仕訳番号や請求番号など、元資料へ戻れる項目を付けます。提出日と対象期間、ファイル名、担当者、補足説明を保存し、次の質問で同じ版を確認できるようにします。

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CSVを開いたときの文字化け・日付・先頭のゼロ

CSVは、開き方によって表示が変わることがあります。取引先コードの先頭のゼロが落ちる、日付の形式が変わる、長い番号が別の表示になる、文字化けするといった点を確認します。

修正した表示用ファイルだけを残すのではなく、ダウンロードした元ファイルを保存します。文字コードや区切り、列の意味を確認し、実際の取引内容を変えずに読める状態を整えます。

点検すること 不一致の例 確認方法
期間 注文月と精算月が混ざる 元画面の抽出条件と列名を確認
金額 税込・税抜・手数料控除後が混在 項目定義と計算を照合
番号 先頭ゼロが消える 元ファイルと取引先の表示を確認
通貨 外貨と円貨を合算 通貨・換算・入金を別に整理
件数 重複取得や一部未取得 月別件数とファイル一覧で確認

仮例:注文売上と入金の差を説明する

説明のため、注文データの売上合計100万円、返金5万円、手数料8万円、差引入金87万円という例を考えます。87万円だけを売上とみなすと、元データの売上との関係が見えなくなります。

売上、返金、手数料、入金を別の項目として照合します。ただし、この単純な式だけで実際の計上時期まで決めるものではありません。未入金、前月分の入金、送料やポイント等がある場合は、その項目も確認します。

この例は資料の整理方法を示す仮例で、実際の税額計算ではありません。ネット販売の取引全体は、ネットショップの税務調査と精算照合もご参考ください。本記事では、業種を問わない電子資料の保存・提出作業を担当します。

PDFやメールが見つからないとき

メールの添付、送受信フォルダー、取引先サイト、社内の共有先、バックアップ、担当者が管理する資料等を確認します。再取得できる場合は、取得した時点と対象を記録します。

現在ダウンロードした資料と、当時の受領・保存の状況は同じ事実ではありません。再取得できたから過去の保存状況まで当然に問題がなくなると説明せず、何がいつ残っていたかを分けます。

データがない箇所について、実際には受け取っていない請求書や、存在しない取引を作らないでください。残る証拠、再取得できた資料、まだ確認できない点を整理し、税務署への説明を検討します。

会計ソフトや取引サイトを変更・解約した場合

旧ソフトの閲覧や出力ができるか、バックアップを復元できるか、帳簿・明細・添付資料を取得済みかを確認します。新ソフトへ移した期首残高だけでは、旧期間の取引一件ずつの説明が難しいことがあります。

解約に伴って、請求書や注文の閲覧期限が来るサービスもあります。調査の連絡後に慌てて確認するのではなく、保存が必要な記録をどの形式で取得できるかを整理します。

旧担当者や旧事務所から引き継いだ資料がある場合は、元データ、帳簿出力、申告書、取引資料の範囲を分けます。何が不足しているかを明らかにしてから、追加取得の順序を決めます。

業務と私用のデータが同じ端末にある場合

私用の写真やメールと、事業の取引資料が同じ端末にある場合は、業務データの保存場所と、調査で必要とされる内容を確認します。私物の端末だからすべて対象外、端末に入っているからすべて無制限に確認される、とは一律に判断しません。

資料を出す前に、求められた範囲、対象外データの混在、通常業務への影響を整理します。調査に必要な取引情報を隠すための削除や、説明できない加工はしないようにします。

認証情報の取扱いも慎重に確認します。提出用データの用意と、全アカウントへのアクセスを渡すことを同じ作業として扱わず、必要な方法を税理士と整理して進めます。

保存の不備と、経費・控除の否認を一律に結び付けない

電子帳簿保存法の要件、所得税・法人税の取引の実在性や必要経費・損金、消費税の仕入税額控除等は、条件を分けて確認します。データ保存の不備が一つあるから、全取引が架空になるというわけではありません。

一方、「実際に払ったから保存は何でもよい」ともいえません。消費税で必要な帳簿・請求書等の要件や、保存状況が加算税等にどう関係するかも確認します。青色申告の取扱いを含め、事実と適用条件に基づいて判断します。

不足の程度と理由を整理し、取引の根拠を示す資料と今後の保存方法を分けて検討します。過去の状況を調査後に作り替えたことにせず、どこを改善するかを記録します。

税務調査前に作る、電子資料の一覧

項目 記載する内容
資料名と取得元 会計ソフト、取引先サイト、メール等
対象期間 取引の開始・終了、取得できない期間
保存場所 元データ、作業用、提出済みの保管先
内容 日付、相手、金額、税区分等の項目
帳簿との対応 仕訳番号、請求番号、照合する集計
不足 再取得予定、未確認事項、担当者
提出記録 提出日、提出先、対象ファイル、補足説明

会社と税理士で同じ一覧を見られるようにすると、資料の再送や重複確認を減らせます。すべてのファイルを一度に作り直すより、税務署から求められた事項と申告の主要な数字を優先して確認します。

保存用・作業用・提出用を分ける具体例

データを一つのフォルダーで使い回すと、提出用に並べ替えた表が元のデータに上書きされることがあります。例えば、元資料、照合中の作業、提出済みという三つの区分を設けると、何を編集したかを追いやすくなります。

元資料には、取得したPDF・CSV・取引情報を、内容を変えずに保存します。作業用では、列の説明や帳簿との対応を付けます。提出用には、実際に渡した版と補足説明、提出日・相手を残します。これは管理の一例で、フォルダー名を付けただけで法定要件を満たすという意味ではありません。

ファイルに取引番号等を付ける場合も、保存要件と、元データとの同一性を確認します。検索を容易にする工夫と、情報を書き換える操作は分けます。訂正削除防止、画面での確認、検索やダウンロード対応等を、制度に合わせて確認します。

資料ごとに保存期間が違う場合

電子データの保存期間を、ソフトの契約期間やサイトの閲覧可能期間で決めないようにします。所得税・法人税の帳簿書類、消費税の帳簿・請求書等では、必要な期間と起算点をそれぞれ確認します。

赤字の繰越しなどに関係して、通常の年より長い保存が必要になる場合もあります。「すべて5年」「すべて7年」と一つの数字だけで古いデータを削除せず、対象税目、法人・個人、資料の種類と年度を確認します。

税務調査の対象として最初に示された期間だけを残せばよい、ということでもありません。保存が必要な資料は、調査予定と別に管理します。対象期間が追加された場合にも、元資料がどこにあるかを分かるようにします。

従業員が個人のスマートフォンで立て替えた場合

業務上の購入で、電子領収書やアプリの明細を従業員が受け取っている場合は、会社の経理資料として何を集めるかを決めます。精算額だけを一覧にして、取引情報が本人の端末にしか残らない状態を避ける必要があります。

購入先、取引日、金額、内容、業務の目的、精算した日を関連付けます。個人の買い物が混在している場合は、会社で負担した取引を確認します。本人の端末全体を経理資料として取り込むことと、必要な取引資料を受け渡すことは別です。

退職前後の資料の引継ぎも重要です。担当者が変わっても、会社が対象の記録を確認できる状態かを点検します。調査で不足が判明したら、何の資料を誰が持つかを一覧にして、再取得・照合の順番を決めます。

調査後の改善は、次の取引から回る方法にする

調査で見つかった問題を、その場だけの大量整理で終わらせないようにします。誰が受け取り、どこに保存し、帳簿のどの記録とつなげるかを、毎月続けられる方法で決めます。

例えば、取引先サイトの明細を月ごとに取得し、売上・返金・手数料・入金を照合する担当を明確にします。会計ソフトへの取込みエラーや、取得できなかった月があれば、その時点で確認できるようにします。

当事務所の税務顧問サービスでは、日々の会計入力や決算・申告までつながる資料の分担をご相談いただけます。会社側の現場の記録と、事務所の経理・税務の作業をつなぎ、次の申告でも同じ資料不足を繰り返さない運用を考えます。

よくあるご質問

PDFを会計ソフトへ添付すれば、それだけで大丈夫ですか?

実際のソフトの機能と運用が、対象制度の保存・検索・提示等の条件に合っているかを確認します。添付という操作だけで判断せず、必要な期間の元データを探し、読み取り、提出できるかも点検します。

画面のスクリーンショットしか残っていません。

何の取引情報が含まれ、元の情報をどこまで確認できるかを整理します。スクリーンショットだけで足りると一律には判断せず、取得元からの再取得や必要項目を確認します。

調査直前に会計データを修正してもよいですか?

誤りを直す必要がある場合も、元の状態、変更した箇所、理由と根拠資料を残します。帳簿の訂正と申告書の訂正は別です。数字を合わせるためだけの書換えや、過去の履歴の消去をしないでください。

電子資料を、申告の根拠として説明できる形へ

秋田税理士事務所では、データを集める作業だけでなく、どの資料がどの取引・申告の数字を裏付けるかを整理して調査対応を進めます。会社側で用意するものと、事務所で照合・説明するものを分け、本業と両立できる準備をサポートします。

初回相談は無料です。使用している会計ソフト、取引サイト、残るデータの種類、税務署から求められた内容と期限をお知らせください。保存場所が分散している場合も、現在の状態から確認の順序をご案内します。

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  • この記事を書いた人

税理士 / 坂根 崇真(秋田税理士事務所)

【肩書】 秋田税理士事務所 代表税理士、㈳全国第三者承継推進協会 理事、㈱坂根ホールディングス代表取締役 【著書】 会社を立ち上げる方法と7つの注意点 相続実務のツボとコツがゼッタイにわかる本 (出版社:秀和システム) 【メディア実績】 Yahoo!ニュース、livedoor ニュース、Smart News、幻冬舎GOLD ONLINE 、現代ビジネス ほか

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