税務調査

ネットショップの税務調査は何を見られる?売上・手数料・在庫・返品とデータの準備

税理士 / 坂根 崇真(秋田税理士事務所)

【肩書】 秋田税理士事務所 代表税理士、㈳全国第三者承継推進協会 理事、㈱坂根ホールディングス代表取締役 【著書】 会社を立ち上げる方法と7つの注意点 相続実務のツボとコツがゼッタイにわかる本 (出版社:秀和システム) 【メディア実績】 Yahoo!ニュース、livedoor ニュース、Smart News、幻冬舎GOLD ONLINE 、現代ビジネス ほか

ネットショップの税務調査では、注文・販売・決済・入金・仕入・在庫の記録を照合し、申告した売上と経費が取引の実態に合っているかを確認します。銀行への入金額だけでは、手数料や返品、未入金の売上まで把握できない場合があります。

モール、自社サイト、フリマアプリを併用している場合や、個人口座も使っている場合は、サービスごとの集計を会社・個人の帳簿へ正しくつなげる必要があります。「出金していないから売上ではない」「アカウントを閉じたから資料は不要」とは判断できません。

税務署から連絡があった方、過去のデータが残っているか不安な方は、秋田税理士事務所へご相談ください。元国税調査官の税理士が在籍し、売上と精算の照合、資料の準備、調査立会い、税務署とのやり取りをサポートします。

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日々の確定申告・記帳の基本は、既存のせどり・ネット物販の確定申告ガイドでご案内しています。本記事は、税務調査の連絡を受けたときに、何を照合し、どの資料で差額を説明し、どの順番で対応するかを中心に整理します。

最初に販売経路と入金先を一覧にする

ネット販売では、サービスが増えるほど「どこで売れたか」と「どこへ入金されたか」が分かれます。モールの売上、決済代行、自社口座、別口座への資金移動を一度に足すと、同じ売上を二重に数えるおそれもあります。最初に経路を整理します。

整理するもの 一覧に残す項目 確認する資料
販売アカウント 運営者、開始・終了時期、販売内容 契約、店舗情報、注文履歴
決済サービス 決済方法、精算周期、手数料 売上・精算明細、利用契約
入金口座 名義、用途、対象サービス 銀行・決済口座明細
仕入先 支払方法、商品、仕入時期 請求、納品、カード、振込
保管場所 自社、倉庫、外部配送拠点 在庫表、移動・出荷記録
帳簿の集計 取込元、対象期間、重複防止方法 会計データ、集計表、設定記録

同じ名義のアカウントでも、個人事業から法人へ事業を移した時期があるなら、どの期間の取引が誰に帰属するかを確認します。入金名義だけで売上の帰属を決めず、契約と実際の事業を整理します。

売上と入金の差を説明する

売上総額と手数料差引後の入金を分ける

販売代金から、決済手数料、モール利用料、広告費、返金等が差し引かれることがあります。入金額だけを売上にすると、売上総額や各費用、未収残高が分からなくなります。精算書の内訳から何が差し引かれているかを確認します。

例えば、売上12万円、返品1万円、販売手数料6,000円、送料等の精算4,000円があり、他の調整がなければ、差引入金は10万円となる仮例があります。この10万円だけを売上とすると、12万円の販売、1万円の返品、費用1万円の関係が見えません。税務処理は、実際の契約と取引から各項目を区分します。

入金額から売上額へ戻す際には、前回からの繰越や保留、次回へ繰り越す金額も確認してください。単純に手数料を足すだけでは、売上と精算が一致しないサービスもあります。

決済サービスから口座への移動を、再び売上にしない

サービス内残高への入金と、銀行口座への出金を、どちらも新しい売上として取り込むと二重計上になることがあります。注文、販売、精算、出金という流れのうち、どの段階で会計ソフトへ売上を入れるかを明確にします。

反対に、サービス内で売上を認識していないのに、銀行へ出金していないからと集計から外すと、計上漏れの可能性があります。銀行に動いたお金だけではなく、取引が成立して収入する権利が確定した時期等を確認します。

顧客が支払う送料やクーポンも区別する

顧客から送料を受け取る場合や、クーポン・ポイントが使われる場合は、負担者と精算方法を確認します。顧客の支払額、販売者が受け取る対価、モールが負担する値引き等が同じとは限りません。

「クーポン」と表示されている行をすべて自店負担の値引きにしたり、受け取った送料と発送費を無条件に相殺したりしないでください。利用条件と明細を保存し、金額の意味を確認できるようにします。

年末の売上・未入金・返品の時期

注文日、発送日、引渡し、入金を並べる

注文を受けただけなのか、商品を引き渡したのか、決済だけ先に受けたのかで、確認事項が異なります。原則として銀行入金日だけで売上の時期は決まりません。契約、引渡し、採用している基準、特例の適用等を確認します。

年末には、未発送の注文、発送済み未入金、代金引換の未精算、返品受付中のものを分けます。月末集計だけでなく、年末前後の取引番号を追えば、期をまたぐずれを確認しやすくなります。

返品日と返金日を同じにしない

返品の受付、商品の返送、受領、売上の取消し、返金・精算が別の日になることがあります。翌月の入金が減ったという結果だけで、すべて当月の値引きとして処理しないよう注意してください。

返品履歴には、元の注文番号、金額、数量、理由、戻った商品の状態、在庫へ戻したかを残します。売上の取消しと在庫の戻しが対応しないと、利益や在庫の残高にもずれが生じます。前後の期の訂正は売上の期ズレへの対応もご参考ください。

仕入れと年末在庫を確認する

仕入額を払っただけでは全額経費とは限らない

販売目的で購入し、年末に売れずに残っている商品は、棚卸資産として確認します。仕入れのために預金が減ったことと、その支払がすべて当期の売上原価になることは別です。

説明用に、期首在庫20万円、当期仕入100万円、期末在庫30万円なら、他の調整がない単純化した売上原価は90万円です。仕入100万円をそのまま売上原価にする計算とは異なります。実際には返品、値引き、付随費用、評価方法等も確認します。

倉庫や配送拠点にある商品も含める

自宅や事務所だけでなく、外部倉庫、配送サービスの保管拠点、他店舗へ移した商品も把握します。販売者が保有する在庫か、すでに顧客に引き渡したものか、預り品等かを区別します。

モールの在庫画面と現物に違いがある場合は、返品処理中、破損、移動中、予約、登録誤りなどの理由を調べます。表示された数字を理由なく上書きして合わせるのではなく、基準日と集計条件を記録してください。

値下がり・破損・廃棄は根拠を残す

売れ残ったからといって、年末在庫を任意にゼロ評価することはできません。評価損や廃棄の取扱いは、実際の状態と要件を確認します。破損の写真、廃棄数量、処分日、処分費、販売終了の事情等を保存します。

私用に転用した商品やサンプルとして提供した商品も、単に棚卸表から消せばよいわけではありません。提供先、目的、数量、費用の処理等を分けて確認します。事業主自身の生活用品として使った場合は、通常販売と異なる確認が必要になります。

経費と支払記録で気を付けたいこと

販売手数料、送料、広告、梱包資材、撮影、ソフト利用料等は、売上や運営との関係を説明できるようにします。精算時に差し引かれた費用と、カード等で別途支払った同じ費用を、二重に計上しないことも重要です。

私的な買物が同じカードに混ざる場合は、仕事の支出と分けます。商品撮影用と説明した機器でも、私用との兼用、取得価額、使用開始等を確認します。高額な設備は、購入時に全額経費にできるかも別に判断します。

海外への支払や外貨での取引がある場合には、取引通貨、円換算、為替差額、輸入・輸出に関する資料も整理します。海外サービスの手数料だから、国内サービスと消費税の扱いが同じとは限りません。個別の契約や取引内容を確認します。

突然の税務調査も、地元秋田の税務調査レスキューがサポートします!

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秋田の税務調査レスキュー(秋田県秋田市の税理士)

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消費税とインボイスは、利益とは別に点検する

売上と手数料を相殺しても利益の見え方が大きく変わらない場合がありますが、課税売上高等の判定に影響することがあります。「利益が同じなら売上の表示はどちらでもよい」と決めないでください。

免税・課税の判定、インボイス登録、簡易課税や各種特例、取引税率、輸出等の区分によって確認内容が異なります。基準期間等に当たる過年度の売上を、差引入金だけで集計していなかったかも確認します。

仕入税額控除に必要な帳簿・請求書等、適用する経過措置や特例も、対象期間に合わせて確認します。カード明細やモールの一覧画面だけで、必要な事項がすべてそろうとは限りません。消費税の税務調査の確認点もご参考ください。

保存するデータは「画面の合計」だけでは足りないことがある

取引明細と集計表を両方残す

月間売上の合計だけでは、取消しや返金、期をまたぐ取引を説明できないことがあります。取得できる場合は、注文、商品、販売、手数料、返金、精算、在庫の明細を保存し、どの集計表へつながるかを残します。

データ 確認しやすくする項目
注文・販売 取引番号、日付、商品、数量、金額、販売者
決済・精算 決済番号、精算期間、控除項目、繰越、入金先
返品・取消し 元取引、受付・処理日、返金額、在庫への戻し
仕入・在庫 商品番号、仕入先、数量、単価、保管先、基準日
帳簿取込 取込期間、元ファイル、重複防止、訂正履歴

保存データがCSV等であれば、加工前の元ファイルを残し、計算した表と区別します。変換後の表だけでは、集計条件を間違えたときに元の取引へ戻れないことがあります。

電子取引データは、電子での保存要件も確認

電子で授受した請求書や領収書等には、電子取引に関する保存の取扱いがあります。管理画面が見られることだけで、必要な期間のデータが自動的にすべて保存されるとは限りません。保存対象、検索や提示等の要件、適用される措置を確認します。

印刷だけでよいと決め付けたり、画面を見られるから元データを削除したりしないでください。アカウントを閉じる前には、過去の取引資料をどのように取得し、保存するかを確認することが大切です。

調査の連絡後にすること

  1. 対象税目、期間、希望日程、担当者の連絡先をメモする。
  2. 利用した全サービスと口座を一覧にし、終了済みのものも確認する。
  3. 元の取引データを保存し、必要な期間を取得できるかを確かめる。
  4. 売上・返品・手数料・入金・在庫と帳簿のずれを整理する。
  5. すでに提出した資料や回答、次の期限を記録する。
  6. 秋田税理士事務所へ、現在の資料と不明点を伝える。

ログイン情報を不必要に共有するのではなく、どのデータが必要で、どの方法で受け渡すかを確認します。調査官に画面提示等を求められた場合も、対象と目的、提示内容を把握し、記録を消したり事実と違うデータへ置き換えたりしないでください。

データの一部しか残っていなくても、資料が全部そろうまで相談を待つ必要はありません。サービスからの再取得、銀行・カード、仕入先や配送等の記録を合わせ、どこまで事実を確認できるかを整理します。資料不足と実額確認もご参考ください。

無申告・複数年の誤りがある場合

売上が増えてから一括で申告すればよい、とは限りません。年分・事業年度ごとに、所得、申告義務、消費税等を確認します。会社員の副業でも、販売目的の仕入や継続した販売を、生活用品の処分と一律に同じ扱いにしないことが大切です。

所得税の申告不要制度の20万円は、一定の給与所得者に関する所得等の条件がある制度で、すべてのネット販売者に共通する非課税枠ではありません。還付申告や住民税も別に確認します。副業サラリーマンの税務調査もご確認ください。

過去の誤りを見つけたら、対象期間と計算を整理し、期限後申告や修正申告等を区分します。税務署からの連絡前か後かも記録します。いまから履歴を消したり、仕入れを作ったりせず、事実に基づいて対応します。

仮例で作る、売上から入金への月次のつなぎ表

説明用に、ある決済サービスの当月の販売額50万円、返品2万円、手数料3万円、前月からの未精算5万円、翌月への未精算4万円を仮定します。他の調整がなければ、当月の銀行入金は46万円になります。

確認項目 仮の金額 整理の意味
前月からの未精算 5万円 当月の新たな売上とは分ける
当月の販売 50万円 注文・販売の履歴と照合
当月の返品 △2万円 元取引と返金の関係を確認
当月の手数料 △3万円 費用の内容と精算を確認
翌月へ残る未精算 △4万円 月末の未収等として関係を確認
当月入金 46万円 銀行明細との照合先

この場合、46万円が当月の販売額というわけではありません。翌月に4万円が入ったときも、その全部を翌月の新たな売上として数えないよう、未精算残高と対応させます。実際のサービスでは、入金保留、予備金、広告、補償、通貨換算等が加わることもあるので、精算書の項目を確かめます。

会計ソフトが販売額を取り込み、同時に銀行入金も売上として取り込んでいないかを確認します。反対に、どちらも「振替」として処理し、元の販売が一度も計上されていない可能性もあります。自動連携の有無だけでなく、元データから帳簿へ流れる経路を一つずつたどることが重要です。

年間集計と毎月の照合をつなげる

月次の集計がそれぞれ合っていても、年末をまたぐ未収や返品の処理が抜ける場合があります。各月の終わりの残高と翌月初めの残高がつながるか、年間の販売額と申告の数字が合うかを確認します。

サービスの締め日や時刻、集計対象の条件も記録します。月末までの注文額と、発送済みの販売額とでは、同じ「売上レポート」という名前でも内容が違うことがあります。税務の計算にどのデータを使ったかを残せば、後から再計算しやすくなります。

複数サービス・口座の重複を減らす確認

販売管理ツールで複数モールをまとめている場合、その集計にモールの原データも足すと、同じ売上を二重に数えるおそれがあります。統合した表と原データは、足し合わせる対象なのか、照合のために並べるものなのかを区別します。

サービス間で在庫を共有している場合も、倉庫ごとの数量を単純に足す前に、同じ商品を二重に表示していないかを確認します。保管場所、移動日、所有権、販売済みかどうかを整理し、どこにあるか分からない商品を推測だけで在庫から外さないようにします。

事業用と私用の口座が混在するなら、資金移動を売上や仕入と分けます。自分の二つの口座間で10万円を移しただけの取引を、片方の収入と片方の経費にしないため、相手口座と日付を対応させます。家族や会社との取引は、その帰属も別に確認します。

当事務所へ資料を渡す前に、分かる範囲で整理すること

最初に伝えること 整理できていれば役立つもの
販売したサービスと期間 店舗・アカウント一覧
帳簿を作った方法 ソフト名、連携元、集計表の所在
売上の受取方法 サービス内残高、決済会社、口座の関係
仕入と在庫の管理 仕入先、保管先、棚卸の方法
不安な取引 返品、私用混入、無申告、データの空白期間
現在の調査状況 通知、提出資料、質問、次の期限

これらを完璧な資料にしてからでなければ相談できない、という意味ではありません。現在どのデータがあり、どこが分からないかをお伝えいただくことで、優先して取得・照合する資料を絞れます。通常の業務で使っている名称のままお知らせいただいて構いません。

調査の指摘についても、「売上が足りないと言われた」とまとめず、どのサービスの、どの月の、どの金額かを把握します。当事務所では、その数字を元の取引へつなぎ、説明できる差額と訂正が必要な部分を分けて対応します。

よくあるご質問

小さなネットショップでも税務調査は来ますか?

規模だけで対象外とはいえません。一方、売上額だけから個別の確率を計算することもできません。実際の取引と申告が合い、資料で説明できるかを確認します。

フリマアプリの売上も全部、課税されますか?

生活に通常必要な動産の処分が非課税となる場合と、仕入れて転売する活動等は区別します。品物の性質や取得・販売の実態を見ず、すべて非課税またはすべて同じ所得と決めないようにします。

アカウントを閉じて資料がありません。相談できますか?

ご相談いただけます。利用期間、残っている明細、入金口座、仕入や配送記録をお知らせください。再取得できる資料と現在の資料から、確認できる範囲を整理します。

会計ソフトへ自動連携していれば大丈夫ですか?

連携元、集計期間、返品や手数料、出金の取扱いによって、重複や漏れが生じる場合があります。元データと帳簿を定期的に照合し、連携だけで申告が正しいと判断しないことが重要です。

販売を続けながら、税務調査の準備を進めたい方へ

ネットショップは取引データが多く、売上と精算の違いを整理するだけでも時間を要します。秋田税理士事務所では、販売経路と帳簿の関係を確認し、必要な資料の選定から調査立会い、税務署とのやり取りまでサポートします。

初回相談は無料です。現在の販売サービス、対象期間、税務署の連絡内容を手元にご相談ください。「どのデータを渡せばよいか」という段階から整理し、本業の受注・発送を続けながら調査対応を進められるようお手伝いします。

突然の税務調査も、地元秋田の税務調査レスキューがサポートします!

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