会社を立ち上げる手続きと方法、7つの注意点を税理士が解説

悩んでいる人
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会社を立ち上げたいのですが、どんな手続きが必要でしょうか。また、注意点があれば教えて欲しいです
  • 会社を立ち上げる手続き:書類の準備→定款認証→法務局に申請
  • 設立時の税務届出には期限がある
  • 届出書→「知らなかった」で数百万円損する人も多数
  • 資本金は多すぎるのも良くない 等、注意点アリ

この記事では、数多くの会社設立に携わり、自身でも株式会社を立ち上げている秋田県会社設立0円サポート税理士 坂根が解説します。

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会社を立ち上げる際の7つの注意点

悩んでいる人
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会社を立ち上げる際の注意点を教えていただけないでしょうか

会社を立ち上げる際に、注意すべきポイントを7つご紹介します。

  1. バーチャルオフィスは口座開設に不利
  2. 代表者の住所は登記簿に掲載される
  3. 代表取締役を2人以上にする、2人で50%ずつの株主にしてしまうのは危険
  4. 事業目的の不足や書きすぎはダメ
  5. 資本金は多すぎても失敗する
  6. 株主総会、社員総会の開催時期について定款に条項が無い
  7. 届出書を出し忘れ、数百万円以上損する人もいる

バーチャルオフィスは口座開設に不利

会社の本店をバーチャルオフィスにすると、口座開設に不利になります。

バーチャルオフィスとは、「実際にはオフィスでは働かない人に対して、住所や電話番号を貸し出すこと」をいいます。コストが安く済み、一等地の場所を会社の本店所在地にできるため人気がありますが、これは「口座開設」の観点では不利になりやすいです。

特に、信用金庫の場合はエリアが決まっていますから、「すぐに引っ越しかねない」バーチャルオフィスは、口座開設を断られやすいです。

なお、バーチャルオフィスでの開業に制限がかかっている業種(宅地建物取引業など)もあるので事前に確認が必要です。

代表者の住所は登記簿に掲載される

会社の代表者の住所は登記簿に掲載されるため、身バレする可能性があります。

会社の代表者の住所は登記簿に掲載されますが、登記簿は、法務局に行けば会社に関係ない他のだれであっても発行することができてしまいます。

そのため、Vtuberや有名人で、「自宅の住所を知られたくない」場合は家を2つ借りたり、代表を他の方に変わってもらう必要があります。

ただし、融資を受けて事業を行いたいと考えている場合、代役を立てた場合は融資がかなり通りにくくなります(融資の面談を受けるのは代表者だからです)。

代表取締役を2人以上にする、2人で50%ずつの株主にしてしまうのは危険

会社は1人で立ち上げることをお勧めします。

仲の良い友人と会社を立ち上げた場合、心情として、「50%ずつで株を分け合う」というスタイルを取りたくなることもあるでしょう。

しかし、これは非常に危険です。相手との仲が決裂したり、相手と連絡がつかなくなった場合、半分ずつで株を分け合っていると株主総会での決議ができなくなってしまうからです。

たとえば、「相手が行方をくらましたから、取締役を辞めさせよう」と考えても原則できません。また、代表取締役も2人以上にすることができますが、同様に、揉めたときのことを考えるべきです。

そのため、最低限51%と49%で強弱をつけることが必要です。もちろん、会社は1人で立ち上げることをお勧めします。

事業目的の不足や書きすぎはダメ

定款には事業目的を書くことになりますが、不足はもちろん、書きすぎもよくありません。

旅館業や薬局など、都道府県の許可が必要となる業種の場合、事業目的があいまいであったり不足していると許可が降りにくくなります。

一方で、事業目的をたくさん書きすぎると、「何をしている会社かわからない」「あいまいで判断がしにくい」として、口座開設や融資で不利になります。

会社を設立するときは、専門家に依頼してすすめましょう。

資本金は多すぎても失敗する

資本金は多すぎてもよくありません。

  • 消費税の申告が1期目から必要になる
  • 登録免許税が多くかかる
  • 生活費分まで資本金に回すと融資で不利

消費税の申告が1期目から必要になる

設立2期までは消費税の申告が不要と聞いたことがあるかもしれませんが、資本金が1,000万円以上だと1期目から申告が必要です。

登録免許税が多くかかる

株式会社を例にすると、設立に伴う登録免許税は通常15万円で済みます。しかし、設立時の資本金を2,143万円以上にすると資本金×0.7%の支払いが必要です(原則が0.7%で下限が15万円のため)。

つまり、資本金を3,000万円にする場合、設立時に21万円の登録免許税がかかることになります。

生活費分まで資本金に回すと融資で不利

「資本金は多い方が見栄えが良い」と、無理して生活費まで資本金に回すことは辞めた方が良いです。

売上が思うように伸びず、自身の生活費を会社から引き出した場合、会社から代表者に対する「貸付」となってしまいます。

会社から代表者への貸付は、銀行融資で不利になります。なぜなら、銀行が会社にお金を貸しても、それが代表者のプライベートにお金が回ってしまうと考えられてしまうからです。

業種によっては資本金を一定金額以上にしないといけないこともあるため一概には言えませんが、このように、資本金は多すぎるのも良くありません。

株主総会、社員総会の開催時期について定款に条項が無い

定款に、株主総会・社員総会の開催時期が書いていないケースがよくあります。

これを書いていないと、申告期限の延長申請を行うことができません。

株主総会・社員総会は決算月から2か月以内に行うことが一般的ですが、定款に「3か月以内」と書いておくのが良いでしょう。その結果、決算月から2か月以内に決算が確定しない場合には、事前に税務署等に申請書を出しておくことで、申告期限の1か月延長が認められることがあります。

本来の使い方とは言いがたいですが、いざ、資金繰りに困ったときや決算時に資料が集められなかった場合でも、時間的猶予が生まれます。1か月間納税を遅らせることができるだけでも、会社の危機的状況を脱出できるというケースを今まで見て来ました。念のため、この条項は設けておいた方が良いでしょう。

届出書を出し忘れ、数百万円以上損する人もいる

届出書を出し忘れて(知らなくて)800万円損していた方など今まで見て来ました。

知識がない人が独力で会社を立ち上げるのはなかなか大変ですが、「出さないといけない書類」はもちろん、「出した方が良い書類」について見落としがあることは多く、数百万円以上損することがあります。

たとえば、「青色申告承認申請書」は青色申告を行うために出さなければいけませんが、原則として設立から3か月以内に出さないと認められません。

期限を知らずに過ぎている方もたまにいます。

また、1期目から消費税の申告を行った方が良いケースもありますが、その場合も税務署に届出書を出さないといけません。こういった届出書や申請書には、必ず期限があります。

1日でも過ぎれば取り返しがつきませんので、会社設立の際は専門家に依頼することをお勧めします。

会社を立ち上げるのに必要な資金はいくら?

会社の立ち上げ自体は、合同会社であれば15万円、株式会社は30万円ぐらいあれば十分です。

ただし、現実的に運転資金も考えると100~300万円(経営していくなら最低100万円)は必要でしょう。不足資金は融資で賄いましょう。

会社を立ち上げる手続きの流れ

悩んでいる人
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会社を立ち上げる手続きの一連の流れを教えていただけないでしょうか

前後することもありますが、概ね次の流れです。

  1. 設立場所や資本金をいくらにするか等を決定
  2. 印鑑の購入
  3. 定款等の書類作成
  4. 資本金の振込
  5. 公証役場で定款認証
  6. 法務局で登記
  7. 公告

設立場所や資本金をいくらにするか等を決定

まず、次のような会社の基本情報を決める必要があります。

  • 会社名
  • 会社の住所(設立場所)
  • 資本金
  • 設立年月日
  • 事業目的
  • 株主・役員の構成
  • 会計年度 など

なお、似たような会社名がないかを法務省のWEBサイトなどで確認しておくと良いでしょう。

印鑑の購入

契約を結ぶ際はもちろん、設立登記をする際にも印鑑が必要なため、購入する必要があります。

  • 代表印
  • 角印
  • 銀行印

上記の3本セットで購入すると良いでしょう。

定款などの書類作成

定款とは、会社のルールを決めた書類です。たとえば次のことを記載します。

  • 会社の目的
  • 商号
  • 本店所在地
  • 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
  • 発起人の氏名又は名称及び住所

これに漏れがあったり間違いがあると法務局の審査で引っかかることもありますし、設立したあとに困ることがありますので司法書士に作成していただくことが一般的です。

資本金の振込

会社の資本金を振りこみます。

もちろん、このときにはまだ「会社の銀行口座」はありません。

そのため、資本金の振込先は個人口座(発起人のもの)です。自分の口座から自分の口座に振り込みます。

公証役場で定款認証

株式会社の場合、作成した定款は、公証役場(専門家)にお墨付き(定款認証)をしてもらう必要があります(合同会社は定款認証が不要)。

公証役場に「この定款は、正しい手続きによって作られたこと」を証明してもらう手続きです。

法務局で登記

次のような書類を準備し、法務局に登記申請を行います。

  • 定款(上記で作成したもの)
  • 印鑑証明
  • 資本金を払い込んだことを証明する書類(通帳のコピー)
  • 印鑑届出
  • 設立登記申請書
  • 登記用紙と同じ用紙(※CD-ROMでの提出でも構わない)
  • 代表取締役に就くことを承認するための書類 など

公告

会社を設立したことをお知らせ(公告)します。

公告とは官報(日本の機関紙)等に掲載することを指します。

公告には「官報に載せる」「新聞に載せる」「WEBページを利用する」3つのやり方があります。

最近では、単純に会社を「設立するだけ」なら自分でできてしまう人もいますが、差し戻しで時間がかかったり、口座開設できなくなったり、税務署等に書類を未提出だったりするなど、多くの悲劇も生み出しています。

専門家への少しの支払いを渋った結果、数百万円以上の損失が出てしまう人を多く見て来ましたが、無駄に時間をかけ、そして失敗しては目も当てられません。

途中まですすめてから、

  • 「もうお金を多く払ってもいいから楽になりたい」
  • 「早くカタをつけたい」

と考える方も少なくありません。

そのため、設立時から専門家に依頼することをお勧めします。

会社を立ち上げるデメリットとメリット

デメリット

  • お金がかかる
  • 管理が大変

メリット

  • 信用度が上がる
  • 経営者としての覚悟が決まる

会社を立ち上げる必要がない人

次の人は会社を立ち上げる必要は無いでしょう。

会社を立ち上げる必要が無い人

  • 稼いでいないのに節税を気にする人
  • 稼ぐ覚悟が無い人

会社を立ち上げる際は専門家に依頼

会社はだれもが立ち上げられる時代になりましたが、安易に会社を立ち上げると後悔します。

会社を立ち上げたはいいものの、個人事業主のままでよかったという方もいれば、口座開設ができない方、融資を受けられない方など問題を起こすケースも多いです。

まじめに事業を行っていくなら専門家に依頼し、大きな失敗をしないように進めていきましょう。

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