建設業の税務調査では、入金と請求書だけでなく、工事の契約・進み具合・引渡し・原価を、現場ごとにつなげて説明することが大切です。売上の計上時期、期末の未完成工事、協力業者への支払、材料や車両等の取扱いを分けて確認します。
「請求した月で売上を入れている」「材料代は払った月に全て経費にした」「一人親方への支払は全て外注費にしている」。こうした処理がある場合も、科目名だけを見て結論を出さず、契約と実態に戻って点検します。
秋田税理士事務所には元国税調査官の税理士が在籍し、税務調査のみのご依頼にも対応しています。工事の途中で経理資料がそろっていない場合も、通知内容、工事一覧、手元の資料からお知らせください。現場担当者が探す資料と、当事務所が検討する税務・説明の作業を分担します。
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調査の連絡が来たら、対象期間と工事の一覧を用意する
税務署の担当者、対象税目・期間、日程、場所、求められた資料を記録します。そのうえで、対象期間に動いていた工事を、完成・未完成・中断・解約等に分けます。調査対象年度の売上に入っていない未完成工事も、無関係と決めて一覧から落とさないでください。
工事番号や現場名が経理・請求・現場の資料で違う場合は、対応表を作ります。「同じ現場を別の名前で呼んでいた」ことと、「違う工事の金額が混ざった」ことを区別できるようにするためです。
| 一覧にする項目 | 内容の例 | 照合する資料 |
|---|---|---|
| 工事の識別 | 工事番号、現場名、発注者 | 受注台帳、契約書 |
| 契約額と変更 | 当初金額、追加・減額、契約変更 | 注文書、変更合意、見積 |
| 進行状況 | 着工、完成、引渡し、未完成 | 工程、作業日報、検収記録 |
| 請求と入金 | 前受、出来高、残金、保留金等 | 請求書、精算、通帳 |
| 原価 | 材料、外注、労務、機械等 | 工事台帳、仕入・支払資料 |
最初から全項目を埋められなくても、分かることと未確認のことを分けてください。当事務所へは「期末に動いていた工事が何件あり、どの資料がどこにあるか」をお知らせいただければ、確認順を整理できます。
売上の時期は、請求日や入金日だけでは決めない
工事の売上をいつ計上するかは、契約の内容、引渡し等の事実、適用される税務上の取扱いから確認します。法人・個人、工事の性質や期間等による違いもあるため、全ての工事を一律の方法で説明はできません。
特に、決算月前後の工事については、請求書の発行日だけでなく、作業完了、発注者の検収、引渡しや使用開始などの記録を並べます。請求が翌月になったという理由だけで、当期の収益ではないと結論を出さないようにします。
前受金・出来高請求・売上を区別する
契約時の前受金、工事の途中で受け取る金額、完成後の残金は、同じ「入金」でも背景が違います。入金額を全て売上とする処理や、最終入金があるまで一切売上を記録しない処理が、実態に合うとは限りません。
請求・入金の条件と、収益を計上する根拠を分けて整理してください。消費税の取引時期も、前受金を受け取った日だけで一律に決まるものではありません。完成・引渡し等の記録、適用している計算方法を照合します。
時期のずれと、翌期に重ねて計上していないかを確認する際は、売上の期ズレと修正申告の考え方もご参考ください。
未成工事の原価は、支払った順ではなく工事と対応させる
期末に完成していない工事がある場合、既に支払った材料費や外注費をどのように処理したかを確認します。自社の工事が未完成でも、協力業者への支払だけ先に終わっている場合があります。支払済みだから全額を当期の経費にできる、と即断しないことが大切です。
工事台帳の金額を、請求書・支払明細と照合します。どの現場へ使ったか分からない支出、複数工事に共通する費用、倉庫に残った材料は、内容と配分の根拠を確認してください。期末に都合よく利益を合わせるため、根拠なく工事間で費用を移す方法は取りません。
仮例:材料80万円・外注120万円を払った工事が未完成
説明のため、期末時点で工事が未完成で、材料80万円と外注120万円の計200万円を支払済みとします。200万円の出金があることと、その200万円を当期の経費として処理できることは別です。どの原価がその工事に対応し、期末時点でどのような状態かを確認します。
材料の一部が別の完成工事にも使われているなら、その区分も必要です。先に合計額だけを移すのではなく、資料で分けられる項目と追加確認が必要な項目を整理します。これは資金の支出と原価処理を区別する仮例であり、全ての契約に同じ仕訳を適用するものではありません。
一人親方・協力業者への支払は、契約名と働き方を照合する
契約書に「外注」と書いてあるだけで、給与との区分が決まるわけではありません。作業を依頼する単位、仕事の進め方、指示・監督、道具の負担、代わりの人を手配できるか、仕事の完成に対する責任など、実際の関係を確認します。
工事の注文書や請求書に加え、現場日報、作業内容、支払計算、材料・道具の負担が分かる記録を用意してください。安全管理上の連絡があることと、税務上どのような契約実態かは、個別の事情を確認して検討します。一つの項目だけで機械的に給与・外注を分けないことが大切です。
給与か外注かによって、源泉徴収や消費税等にも確認事項が生じます。また、支払相手と仕事の種類によって源泉徴収の検討が異なるため、「建設関係の個人への支払は全て不要」とは判断しません。外注費と給与の区分・必要資料もご確認ください。
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相殺・立替・保留金があるときは、総額を説明できるようにする
元請会社からの入金が請求額より少なくても、差額が全て値引きとは限りません。材料の支給、立替金、安全協力会費等の控除、保留金、他の取引との相殺など、精算の内訳を確認します。
請求書、元請会社の支払通知、相殺の明細、通帳を一組にし、請求総額から入金額へどうつながるかを並べます。入金額だけを売上にしたことで、売上や経費の内訳が帳簿へ反映されていない場合もあります。差額を一括して雑費に入れず、性質と取引の相手を確認してください。
| 金額が違う理由 | 確認すること | 残す資料 |
|---|---|---|
| 相殺 | 双方の債権・債務と対象工事 | 相殺通知、請求明細 |
| 立替精算 | 誰が負担すべき支出か | 立替の依頼・原資料 |
| 保留金 | 条件と請求・回収の関係 | 契約、精算、回収履歴 |
| 変更・追加工事 | 合意した内容と時期 | 変更注文、メール、見積 |
追加工事の合意が口頭だった場合は、当時のメール、工程の変更、材料の発注等、残っている記録を探します。調査に備えて日付をさかのぼらせた契約書を作るのではなく、今確認できる事実を整理します。
材料・車両・工具・修理の資料を用意する
材料の購入と現場での使用、在庫や余材の保管を区別します。廃棄・紛失・現場間の移動があった場合は、その理由と記録を確認します。材料を買った数量だけで、売上や完成工事の金額が直ちに決まるわけではありません。
車両や重機、工具の購入では、契約、取得日、使用開始、事業での使用状況、売却や下取りの資料も残してください。修理代は金額が小さいから常に経費、大きいから常に資産、と単純には決められません。修理の内容と、機能・価値等への影響を説明できる明細が大切です。
社長個人の車両や工具を会社で使う場合、名義、支払、利用実態も確認します。会社が支払ったという事実だけで、私用部分まで事業の費用になるものではありません。必要な資料を当事務所が整理し、申告処理との対応を点検します。
当日のための資料は、工事別と共通資料に分ける
工事別には契約・変更、進行・検収、請求・入金、材料・外注・労務をまとめます。共通資料として、申告書、総勘定元帳、預金・現金、固定資産、給与、消費税関係の届出等を用意します。全資料を工事ごとへ重複コピーするより、どこにあるか分かる索引を付けると確認しやすくなります。
資料は調査対象期間に合わせ、元のファイルと説明用の一覧を分けます。提出した日、資料名、対象期間、渡した版を記録してください。電子データの保存・提出準備もご参考ください。図面や現場の記録に別の情報が含まれる場合も、自己判断で必要な資料を削除せず、対象・提出方法から整理します。
工事台帳がない場合は、請求と原価から一覧を再構成する
工事台帳がなければ、まず対象期間の売上請求書と、工事の契約・注文を並べます。請求書の番号、現場名、相手、金額を一覧にし、複数回請求している工事を一つの案件へまとめます。請求がない工事も、工程表や受注一覧から確認してください。
次に、材料・外注等の請求書や作業日報と結び付けます。日付が近いというだけで同じ工事へ付けず、納品先、作業場所、注文内容で確認します。どうしても特定できないものは「確認中」の一覧へ置き、残っている資料と確認する担当者を記載します。
共通する原価は、費用の性質と実際の使用状況に応じて配分の考え方を整理します。「売上の大きい工事へ全て付けた」「利益が出た現場へ後から移した」という説明では、根拠が分かりません。何を根拠に分けたか、前の年と違う方法を採ったかを確認します。
仮例:決算をまたぐ一つの工事を、順番に照合する
ここでは、契約額1,000万円、決算月末には作業中、翌月に完成・引渡し、その後に残金を受領したという仮の工事を考えます。当期に受け取った前受金が300万円、支払った原価が200万円でも、差の100万円をそのまま当期利益とする計算はできません。
最初に契約・変更を読み、次に完成・引渡し等の状況と適用する取扱いを確認します。その後、前受金300万円が帳簿のどこに入り、原価200万円がどの工事に対応し、期末にどの状態だったかを照合します。翌期の帳簿で売上や原価がどう処理され、前受金や未成工事の残高がどう動いたかまでつなげます。
この例で確認したいのは、入出金だけから利益を決めないことと、翌期まで見て重複や漏れを点検することです。個別の工事へ適用する収益計上方法を、ここで一律に指定するものではありません。契約の性質・期間や実際の引渡し等が違えば、検討する条件も変わります。
| 確認順 | 当期の資料 | 翌期も確認すること |
|---|---|---|
| 契約 | 受注額、変更、支払・引渡し条件 | 追加・減額や精算の確定 |
| 進行 | 期末の作業状況、日報等 | 完成・検収・引渡しの根拠 |
| 入金 | 前受金の内容と記帳 | 請求・残金と前受残高の解消 |
| 原価 | 工事に対応する費用と状態 | 完成した工事への対応と重複 |
追加工事の請求が未確定、代金が回収できない場合
追加作業を実施していても、発注者と金額の合意がない場合や、請求内容を争っている場合があります。作業の有無、合意した範囲、価格の確定、請求、回収の見通しを分け、契約・協議の経緯と実際の記録を残します。経理担当者の判断だけで、請求していないから売上なし、入金がないから売上取消し、と決めないことが大切です。
回収が遅れている売掛金も、遅れたという事実だけで貸倒れの経費になるとは限りません。支払期日、相手との連絡、回収行動、法的・経済的な状況等を整理し、どの処理が必要かを検討します。売上の時期の問題と、債権が回収できない問題は別に確認します。
相手との争いがある案件では、調査対応のために都合よく合意内容を作り直さず、現在確定している事実と未確定の事項を伝えてください。当事務所が申告との関係を整理し、必要な追加資料を絞ります。
調査で指摘された項目は、現場・年度・税目を分けて確認する
「外注費が問題」「売上が漏れている」といった言葉だけで、全ての工事や年度に同じ訂正が必要とは決まりません。どの現場の、どの期間の、何を理由とする指摘かを一覧にします。帳簿のどの数字と、どの元資料を根拠としているかも確認します。
時期の違いであれば、当期だけでなく翌期の二重計上等も点検します。外注費の区分であれば、費用の額だけでなく、消費税や源泉所得税等へ別の影響がないかを検討します。当事務所へは、指摘メモと提出済みの資料をお知らせください。納得できた点と追加確認が必要な点を分けて対応します。
建設業の税務調査について、よくあるご質問
現場写真があれば、契約や検収の資料は不要ですか?
写真は工事の状態を確認する材料になりますが、契約内容、金額、引渡し等を全て説明できるとは限りません。撮影日・現場との関係を残し、他の資料と組み合わせます。
協力業者に現金で払った分は、経費にできませんか?
現金払いという理由だけで決まるものではありません。相手、作業、金額、支払の事実と時期を確認します。請求・受領・現場の記録等を整理し、不足を隠すために架空の資料を作らないでください。
現場が忙しくて資料を全部集められなくても相談できますか?
ご相談いただけます。通知の期限と、工事一覧のある範囲、経理・現場それぞれの保管場所をお知らせください。当事務所が優先して確認する資料と担当を整理します。
秋田税理士事務所へ、現場と経理の橋渡しをお任せください
現場担当者は工事の内容に詳しくても、税務署へどの順序で説明すればよいか分からない場合があります。当事務所では、契約と台帳、完成状況、入出金の関係を整理し、税務署とのやり取りと資料確認を進めます。社長が現場を止めて全ての説明を作る負担を減らせるよう、必要な担当者と確認事項を絞ります。
初回相談は無料です。税務署の任意調査対応の着手金の掲載額は法人30万円・個人20万円です。過年度の申告作成、成功報酬、顧問契約の条件等は別に確認し、消費税込みの総額を見積りでご案内します。詳しい区分は税務調査サービスの料金をご確認ください。
税務署から届いた連絡と、工事一覧のある範囲をお知らせください。未整理の資料があっても、何が足りないかから一緒に整理します。調査後も経理を整えたい方には、税務顧問・経理支援を含めた分担をご案内します。
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