税務調査

ITフリーランスの税務調査は何を確認する?契約・検収・経費・電子資料の準備

税理士 / 坂根 崇真(秋田税理士事務所)

【肩書】 秋田税理士事務所 代表税理士、㈳全国第三者承継推進協会 理事、㈱坂根ホールディングス代表取締役 【著書】 会社を立ち上げる方法と7つの注意点 相続実務のツボとコツがゼッタイにわかる本 (出版社:秀和システム) 【メディア実績】 Yahoo!ニュース、livedoor ニュース、Smart News、幻冬舎GOLD ONLINE 、現代ビジネス ほか

ITフリーランスや小規模な開発会社の税務調査では、契約した仕事、実際に提供した業務、請求、入金と、申告した売上・経費をつなげて説明することが大切です。業務委託の名称、入金日、会計ソフトの自動登録だけで、税務処理が全て決まるわけではありません。

開発案件、月次の保守・運用、制作、コンサルティング、プラットフォーム経由の受注などでは、資料と取引の流れが違います。仕事用と私用が混ざるパソコンや通信費、再委託の支払、海外サービスの利用等も、内容ごとに確認します。

秋田税理士事務所には元国税調査官の税理士が在籍し、税務調査だけのご依頼も承ります。クライアントへの納期と調査準備を一人で抱え込まず、通知内容と契約・請求・入金の状況をお知らせください。当事務所が資料の確認と税務署への対応を進めます。

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最初に、誰のどの仕事が対象かを整理する

個人事業と法人を途中で切り替えた場合、契約者、請求書の発行者、入金口座が同時に切り替わっていないことがあります。どの仕事が誰に帰属するかを、契約変更と実際の提供状況から確認します。旧口座への入金を全て旧事業の売上にする、といった単純な方法では整理できない場合があります。

税務署からの連絡では、対象税目と年分・事業年度、担当者、予定日、求められた資料を記録します。会社員時代の副業、独立後の事業、別の収入が混在する場合は、その時期と内容もお知らせください。

取引の種類 主な確認資料 照合する点
開発・制作 契約、仕様、納品・検収、請求 仕事の範囲と完了・引渡し
月次の保守・運用 対象期間、作業・報告、請求 どの月の役務か
仲介サービス経由 受注、報酬、手数料、精算 総額と差引入金
再委託 依頼内容、成果物、支払 実際の作業と費用
自社サービス等 課金・利用・返金の記録 提供期間と計上の関係

売上の計上時期は、請求日と入金日だけで決めない

開発・制作の仕事では、何を納め、どのような条件で仕事の完了や引渡しが認められる契約かを確認します。税務上の収益の時期は、適用される取扱いと取引実態から検討するため、「開発なら必ず検収日」「請求した月なら常に正しい」と一律に説明はできません。

法人と個人で確認する取扱いが異なるほか、一定期間にわたり提供する役務、契約の途中で成果が生じる仕事等もあります。契約書、作業や納品、検収の連絡、請求と入金を並べ、採用した処理の理由が分かるようにしてください。

仮例:12月に納品、翌年1月に検収、2月に入金

この日程だけで売上の年分を決めることはできません。何をもって仕事が完了する契約か、実際にいつ提供したか、検収が単なる支払確認なのか等を確認します。12月の請求書だけ、または2月の通帳だけで集計を終えないことが大切です。

説明用の案件表には、契約額、変更、納品日、検収日、請求日、入金日、帳簿で計上した期間と理由を並べます。年をまたぐ案件は前後の申告を確認し、漏れと二重計上を点検します。売上の期ズレと翌期の対応もご参考ください。

月額契約・前受け・追加仕様の変更を区別する

保守・運用や顧問型の月額報酬では、どの期間の業務へ対応する金額かを整理します。数か月分をまとめて受け取った場合も、入金総額と提供期間の関係を確認します。入金前・請求前というだけで、当期の確認から外すわけではありません。

追加仕様の変更や、納期延期、契約の中断、返金がある場合は、当初契約とのつながりを残します。チャット上の合意しかない場合も、その記録と請求の変更、実際の作業が分かる資料を保存してください。

調査に備えて、契約日をさかのぼらせたり、未完成の仕事を完成していたように説明したりするものではありません。記憶と記録が違うときは、どこまで確認できたかを区別し、必要な照合を進めます。

仲介サービスからの振込は、報酬・手数料・源泉徴収等を分ける

プラットフォームや仲介会社からは、報酬から手数料や源泉徴収税額等を差し引いた金額が振り込まれる場合があります。振込額だけでは、売上総額や費用、前払いした税金等の内訳が分からないことがあります。

例えば、報酬10万円から手数料等が引かれて少ない金額が入った場合、差額を全て経費と決めるのではなく、精算明細を確認します。源泉徴収があれば、その金額と対象取引を別に確認してください。源泉徴収されているから確定申告が不要、とも限りません。

外貨で報酬を受け取る場合は、請求額、換算、手数料、入金や換金の記録を残します。同じ報酬を、サービス内で受け取った時と国内口座へ移した時で二重に数えていないかも確認します。海外取引や消費税の扱いは、相手の所在だけで一律に決めず、役務の内容と取引の条件から検討します。

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パソコン・ソフト・自宅の費用は、支払と用途を整理する

パソコンを買ったから、その年に必ず全額経費になるということではありません。取得価額、内容、使用開始、適用する制度や条件を確認します。複数の機器、ソフトや周辺機器をまとめて購入した場合は、請求書の内訳も残してください。

クラウドやソフトの利用料は、契約期間、前払い、解約・返金の関係を確認します。事業で使っていることと、支払った全額をその月に経費にできることを、同じ判断として扱わないようにします。

自宅の家賃、通信、電気等を事業と私用で共用している場合は、区分の根拠が必要です。自分で決めた割合を毎年そのまま使うのではなく、使っている場所、時間、用途、契約や支払の資料から、事業に必要な部分を説明できるようにします。

学習・機器の検証・交際の支出も、事業との関係を残す

技術書、講座、イベント、検証用の機器等は、何の業務や開発に必要だったかを整理します。「IT関係だから」「将来使うかもしれないから」という説明だけで、私用の支出まで全て経費にはしません。開催案内、受講内容、使用の記録等が、取引を確認する材料になります。

再委託の支払は、送金先と成果・仕事の内容を照合する

別のフリーランスへ支払った場合には、依頼内容、納期、報酬の計算、作業や成果の記録、請求書と支払を確認します。請求書が一枚あれば実態の確認が不要になるわけではありません。親族や知人への支払でも同じように、何の仕事への対価かを整理します。

指揮・監督等の実態によっては、給与との区分も検討が必要です。また、源泉徴収は支払の相手や仕事内容によって確認が異なるため、「ITの仕事なら全て同じ」とは判断しません。外注費か給与かを指摘された場合の確認事項もご参考ください。

委託先への支払が先行し、取引先への仕事が終わっていない場合は、その費用の時期・処理も確認します。支払った日と、対応する仕事や収益の関係を資料で説明します。

チャット・メール・クラウドの資料を、案件ごとにたどれるようにする

契約、仕様変更、検収の連絡、請求が別々のサービスへ分散している場合、最初から全てを一つのPDFへまとめるより、案件番号と保管先の対応表を作ると確認しやすくなります。取得できる期間や、契約終了後のアクセスにも注意してください。

顧客との秘密保持契約がある資料や、個人情報を含むデータについても、それだけで調査対象の資料を一律に提出しなくてよいとは判断しません。求められた事項、必要な範囲、提出方法を税理士と確認します。元データを削除せず、抽出する場合も条件と提出した版を保存します。

資料 保存時に整理すること 注意点
契約・注文 案件名、相手、変更履歴 最新版だけで当初条件を消さない
チャット・メール 相手、日時、前後の経緯 必要箇所を断片だけで説明しない
納品・検収 対象物、日付、受領等の記録 入金確認と混同しない
会計・CSV 期間、出力条件、元データ 集計用を原本へ上書きしない

提出や保存の詳細は、税務調査と電子データの準備をご確認ください。ソースコード等を含む資料を実際にどこまで求められているか不明な場合は、内容を推測して全データを送る前に、依頼事項から整理します。

無申告・副業・消費税の問題は、別々に確認する

給与を受けながら仕事をしていた期間、独立後の事業、法人化した後では、申告者と収入の種類が異なる場合があります。「副業で一定額以下だから全ての申告が不要」という自己判断をせず、給与や他の所得、申告の条件を確認します。

インボイス登録や課税事業者の選択等がある場合には、所得税等と別に消費税も確認します。赤字だから消費税の申告は不要とは限りません。届出・登録通知と対象期間、採用する計算方法をお知らせください。

過去の申告が止まっている場合は、複数年の無申告を税理士へ依頼する手順もご参考ください。案件ごとの契約と入金先から資料を整理し、必要な記帳・申告・調査対応を分けて進めます。

案件表を作るときの、最小限の項目

案件の資料が複数のツールへ分かれている場合は、案件ごとに「契約・仕事・請求・入金・帳簿」の位置を示す一覧を作ります。プログラムやチャットの全内容を一つのファイルへコピーすることが目的ではありません。必要な事実を元の記録へたどれるようにします。

案件表の項目 書く内容 税務上の確認との関係
契約 相手、契約者、金額、対象業務、変更 誰の、何の対価か
提供した仕事 納品・完了・月次役務等の状況 計上時期の根拠
請求 請求日、対象期間、請求額 契約・提供との対応
入金・控除 入金日、手数料、源泉徴収等 売上総額から入金への説明
帳簿 計上した年、科目、仕訳等 申告書の数字とのつながり
保管先 契約、検収、精算等の場所 資料の取得・提出の準備

請求番号が変更された場合や、複数案件を一枚の請求書で精算した場合は、その対応も残します。会計上の売上合計が合っていても、年またぎの案件と別の売上の誤りが相殺されている場合があるため、合計だけでなく主要な案件を確認します。

仮例:契約額と入金が違う一件を整理する

ある開発の報酬として30万円を請求し、手数料等が差し引かれて28万円が振り込まれたという仮例を考えます。最初に、30万円がどの期間のどの仕事への報酬かを確認します。次に、差の2万円が何なのか、精算明細で確認します。

差額が手数料なのか、源泉徴収税額が含まれるのか、返金・立替・他の精算なのかによって、整理する項目は違います。差の2万円を全て費用として処理したり、入金28万円だけを売上として記録したりする前に、内訳を確かめてください。この数字は照合手順の説明用で、実際の手数料率や源泉徴収税率を示すものではありません。

翌年に同じ報酬を別のサービスから自分の口座へ移した場合にも、その送金が新しい売上かどうかは別に確認します。取引の発生と資金移動を分けて記録し、複数年を通じた漏れや二重計上を点検します。

契約が途中で変わった場合の、記録の残し方

システム開発や制作では、仕様や成果物、納期、報酬が途中で変わることがあります。最終の請求額だけを見ると、当初の契約から何が変わったか分かりません。変更した項目、合意した日、相手、根拠となるメッセージや文書を一覧にします。

不具合対応や再作業が続いている場合も、当初の仕事が完了していないのか、完了後の保証・保守なのかで、確認事項が異なります。クライアントからの入金が遅れていることと、業務の提供が終わっていないことを同じ意味で扱わないようにしてください。

相手と認識が違う場合には、当時の資料と現在の争点を分けます。経理上の数字を合わせるために、検収メールの日付を変えたり、当時なかった契約を作ったりするものではありません。当事務所が、確定した事実と未確定の事項を申告処理へどうつなぐかを整理します。

機密情報を含む資料は、内容と提出経路を先に確認する

顧客情報や秘密保持の対象がある場合には、求められた資料の種類と対象期間を確認し、どの部分が取引や計算の説明に必要かを整理します。契約や法令上の関係、当局への提示・提出の方法を確認せず、情報が含まれるから全て拒否する、または求められていない情報まで一括送信する、と即断しないことが大切です。

提出用に一部を抽出する場合は、抽出条件、元のファイル、提出した版を残します。見せたくない取引を隠すためにデータを消すのではなく、必要な範囲と方法を確認する作業です。疑問があれば、通知内容と資料の性質を当事務所へお知らせください。

指摘事項を確認し、今後の経理へつなげる

調査で指摘されたら、年分、案件、金額、税目、理由、根拠資料を並べます。売上の時期の違いと、経費の私用部分、外注の区分など、異なる論点を一括で扱わないようにします。前後の年や、別の税目へ影響する事項も確認します。

過去の問題が整理できたら、毎月、案件表と請求・入金を照合する日、資料の保管先、通常と違う取引を事務所へ伝える方法を決めます。全ての会計判断をご本人が覚えるより、仕事の事実と資料を共有できる分担を作る方が続けやすい場合があります。当事務所へ税務顧問も含めて任せたい方には、現在のツールと経理体制に合わせた進め方をご案内します。

ITフリーランスの税務調査について、よくあるご質問

支払調書がなければ、売上は計算できませんか?

支払調書だけが確認資料ではありません。契約、請求、報酬や入金の明細を照合します。源泉徴収の有無も取引ごとに確認し、支払調書がないことを理由に収入を除外しないようにしてください。

会計ソフトで全て自動登録していても準備が必要ですか?

自動登録は入力を助けますが、取引の帰属、業務の完了時期、私用、重複等まで無条件に正しく判断するものではありません。連携の入口、取込期間、登録のルールと元の資料を確認します。

調査日が近く、資料を整理する時間がありません。

まず通知内容と期限、使っているサービス、手元の契約・請求・入金の資料をお知らせください。当事務所が、先に必要な確認と後から集める資料を分け、仕事を続けながら準備する分担をご案内します。

秋田税理士事務所が、資料と税務署への説明を整理します

当事務所へは、通知内容、申告書・帳簿、案件一覧、契約・検収、請求・入金、委託費と主な経費の資料をお知らせください。資料が一部のサービスにしか残っていない場合も、その状態からご相談いただけます。

ご本人には、実際に提供した仕事や費用の用途等の確認をお願いします。当事務所が、会計・税務の検討と税務署とのやり取りを進めるため、クライアント対応と並行して全ての説明を一人で作り続ける負担を減らせます。

初回相談は無料です。税務署の任意調査対応の着手金の掲載額は個人20万円・法人30万円です。過年度の申告作成や成功報酬等は別に確認し、税務調査サービスの料金に基づき受任範囲と消費税込みの支払総額をご説明します。今後の経理も任せたい方は、税務顧問・経理支援を含めた分担をご案内します。

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  • この記事を書いた人

税理士 / 坂根 崇真(秋田税理士事務所)

【肩書】 秋田税理士事務所 代表税理士、㈳全国第三者承継推進協会 理事、㈱坂根ホールディングス代表取締役 【著書】 会社を立ち上げる方法と7つの注意点 相続実務のツボとコツがゼッタイにわかる本 (出版社:秀和システム) 【メディア実績】 Yahoo!ニュース、livedoor ニュース、Smart News、幻冬舎GOLD ONLINE 、現代ビジネス ほか

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