なぜ、起業に簿記の知識が必要か?年400件相談を受ける税理士が解説
これから起業しますが、簿記の勉強をした方が良いのでしょうか。なぜ簿記の知識が必要なのでしょうか?
起業にあたって、簿記の知識はあった方が良いです。税理士に依頼しようが、自分で頑張ろうが、です。
1人で細々とやっていくなら良いですが、これから成功しようというのに簿記知識がなく、決算書が読めなかったら、儲かってるのか損してるのかわからずどうやって経営していくの?となってしまうからです。
ただし、起業直後の小さい会社であれば簿記知識は無くてもOKです。簿記ももちろん勉強して損はありませんが、そんなことより売上をあげることが大事です。起業直後は、記帳(経理)も行ってくれる税理士に顧問になっていただくのが良いでしょう。
この記事では、年間400件以上の起業家から相談を受ける、秋田市の税理士 坂根が解説します。
<ポイント>
- 起業直後は経理の人材は不要、人を雇えば1か月に30万円、40万円はかかる
- 自社に経理部を持つメリットは、会社の利益状況や財産状況をすぐに見られるから
- 会社規模が大きくなったら経理部を自前で用意した方が良い
- 起業直後は記帳を行ってくれる税理士にお願いした方が良い、まずは売り上げをあげるべし
起業時は、まずは売上を作ることが大事です。
\創業3年以内の法人限定/
秋田税理士事務所(秋田県秋田市)なぜ、起業に簿記の知識が必要か?
起業するなら簿記の勉強は、必ずどこかでしてください。
簿記を学び、決算書を読めなければ、会社の状況が一切わからないからです。
一人で細々とやっていくなら簿記の知識は無くても良いかもしれません。
しかし、従業員を雇ったり融資を受けたり、会社で取り扱う規模が大きくなればなるほど、「どうやって経営していくの?」という話になります。その際、決算書を見て今の会社の状況をざっくりとでも把握することができなければ、今後の目標を立てられませんし、いつの間にかお金が底をつき、倒産の危機に陥ってしまうかもしれません。
なので、ある程度のレベルで構いませんが、簿記の勉強はしておいた方が良いでしょう。
ただし、「簿記検定」を受ける必要はありません。そんな細かいことは経理人材を雇ったり、税理士にお願いすれば良いのです。まずは経営に集中し、売上をたてることが社長の役割です。
\創業3年以内の法人限定/
秋田税理士事務所(秋田県秋田市)起業直後の小さい会社に簿記、経理知識は不要
起業直後の小さい会社に簿記、経理知識は不要です。
正確には「簿記知識は必要ではあるが、そこに時間を割くべきでない」というのが答えです。
今いくら利益が出ているのか、今年いくら儲かっていくら申告・納税しないといけないのか。それを計算するためには簿記や経理知識が必要です。
しかし、起業したばかりの小さい会社ではそもそも儲かっていないのですから、まずは売上をあげ、利益を出していくことが大事です。
簿記や経理を勉強するのにも膨大な時間が必要ですし、また、自分で経理をするとなればハッキリ言って時間の無駄です。そんな時間があるなら専門家に依頼し、自分は営業の時間に充てましょう。
\創業3年以内の法人限定/
秋田税理士事務所(秋田県秋田市)小さい会社が自社内に経理部を持つメリット
自社内に経理部があると財務状況を即時に把握できるため、意思決定をきちんと行うことができます。
法人税の確定申告で使用する決算書は1年に1度作成すれば問題ありません。
しかし、通常であれば黒字か赤字かわからないまま1年間経営を続けるわけにはいきません。
事業を行う以上、営業の方、事務の方と様々な人間が複雑に絡み合います。そうすると、いま会社にいくらお金があるのか、いくら儲かっているのかの把握が難しくなってしまいます。
だからこそ、多くの会社では毎月決算を行い、会社の財務状況の把握を行っています。
しかし、小さい会社、例えば従業員が自分1人の会社であれば自分で経営状況が感覚値でわかると思いますので、年1回の申告のみでも良いでしょう。
会社が大きくなれば、経理部を作る必要あり
会社規模が大きくなっても「税理士がついているから任せて安心」。ではありません。
税理士は零細企業から上場企業までほぼ例外なくついていますが、税理士がついていても、会社が大きくなれば自社内に経理部があった方が良いです。
- 税理士は社外の人⇨スピーディな対応を受けにくい
- 社内の管理体制を強化できる
- 社内にノウハウを蓄積できる
- 税務調査対策になる
スピーディな対応を受けにくい
税理士に帳簿付けを依頼すれば経理部はいらないのでは?という考えもあるでしょう。
しかし、税理士は会社のサポート役といえど、あくまでも外部の人間です。税理士も、1人当たり何十社とお客さんを抱えているため、いつでもすぐに対応できるわけではありません。
そのため、会社規模が大きくなれば、経理部を持ちます。たとえば月末締めで翌日に決算書を作成し、2日後にはその決算情報を基に経営会議を行うケースもあります。経営判断を早く行うためには、経理部を持つことが大切です。
社内の管理体制を強化できる
会社規模が大きくなると、例えば社内の経費精算手続き等を早めに対応しないといけません。従業員が身内だけであればまだ良いですが、人員増強を行った際、経費精算を行わない等の状況であれば従業員は離れていってしまうでしょう。
経費精算はあくまでも会社内部の手続きです。会社規模が小さいうちは社長が1人で管理できるかもしれませんが、社内に専門の担当者を設け、管理できる社内体制を構築していくことが望ましいです。
社内にノウハウを蓄積できる
税理士事務所に全て丸投げした場合は社内にノウハウが蓄積されないというデメリットがあります。自社で経理担当者や総務担当者を用意し、税理士事務所の協力を受けつつノウハウを蓄積することができれば、自社で対応可能な領域か、それとも外注した方がいい領域なのか見極めができるようになり、コストの削減につながることもあります。
もちろん、上場企業レベルになると、帳簿付けはもちろん自社内で完結させており、申告書もある程度の水準で自社内で作成することが可能です。ただし、間違いや不安がある場合が多く、税理士のレビュー(作成した確定申告書の検証)依頼が一般的に行われています。
※起業したばかりであれば帳簿付けから申告書の作成まで全て税理士事務所に依頼することが一般的です。
税務調査対策
税理士はあくまでも第三者の立場です。企業の詳細な内部事情を知らない税理士の立場からは、どうしても把握しきれない部分があり、把握できない部分について税務調査で指摘を受ける(否認される)ということはよくあります。
例えば、棚卸の実態がどうなっているか、税務調査では見られることが多い項目ですが、現場を見に行っていてはコストがかかりすぎ、そもそも税務の範疇でないため税理士の業務範囲外であることが一般的です。
また、会社の内部事情を把握しているのは会社の方です。税務署は、決算書や申告書に反映されていない会社の情報から、いかに罰金をとるかを考えています。
日ごろから税理士とコミュニケーションを密に行うことがカギですが、常に一緒にいるわけではないため、現実的には会社の内部事情まで把握しきることはできません。
しかし、自社内に経理部があれば、会社の内部事情を把握できるため、決算書や申告書への反映漏れを少なくできます。
結果として、自社内に経理部があり、彼らの目がきちんと行き届いていれば税務調査対策となります。
社長の時間がとられない
社長の時間がとられない。これもメリットの一つでしょう。中小企業であれば、税理士とのやり取りは社長が行うことが一般的です。
しかし、社長の仕事で一番重要なことは税金に関して細かく考えることではありません。経営に集中するために、税理士との窓口として経理担当を設けることが一般的です。
小さい会社は記帳(経理)を全て税理士に依頼する場合が多い
経理部を抱えるコストが払えない
経理部を抱えるにはそれなりにコストがかかります。人を雇えば1か月に30万円はかかります。
また、経験者の採用となれば月に30万円では当然足りませんので教育コストがかかります。育てた人員が転職してしまった場合にはかなりの痛手となるでしょう。そのため、小さい会社はすべて税理士に依頼してしまうのが良いでしょう。
記帳は自分でできる?
起業直後は税理士に記帳代行を依頼すべきです。
なぜなら、クラウド会計を使うにしても簿記の知識が必須だからです。
たとえば、freeeは完全に誇大広告です。税理士向けセミナーにおいては、「freeeは簿記の知識が無くても使えるが、正しい会計帳簿を作れるわけではない」と言い切っています。「システムを使うこと自体は誰でもできるけど、その結果、簿記の知識が無いとぐちゃぐちゃ」ということです。
実際、預金残高がマイナスになっていたり、税理士が直すより1から作る方が早いケースが少なくありません。
なので、起業当初は税理士に依頼し、会社が成長してきた段階で経理担当者を雇い、自社で記帳できるようにしていきましょう。
簿記や経理を勉強するのにも膨大な時間が必要ですし、また、自分で経理をするとなればハッキリ言って時間の無駄です。そんな時間があるなら専門家に依頼し、自分は営業の時間に充てましょう。
\創業3年以内の法人限定/
秋田税理士事務所(秋田県秋田市)記帳代行とは
記帳代行とは、記帳手続きを、税理士等が依頼者に代わって行う(代理)することです。
記帳とは、会社の家計簿のようなものを作成することです。
会社が支払った外注費用や給料、交際費などの経費、売上などの収入について、家計簿のようなものを作成し、毎月の売上や経費を書き留めていく手続きのことを指します。
一般的な家計簿と異なる点は、複式簿記と呼ばれる会計のルールに従って記載するところです。
家計簿であれば通常いくらお金を使ったか、お金が入ってきたかというお金の流れだけを確認するでしょう。
しかし、簿記のルールに従った場合は、会社が行った取引について漏れが起きないよう、現時点ではお金の出入りが無い取引についても、サービスの提供を受けた時点などでお金に換算できるものは書き留めていきます。
この記帳手続を行うことによって、会社が何に対していくらお金を使ったのか、誰からどのような理由でお金が入ってきたか等の管理を行います。
記帳が必要な理由
会社が家計簿を作成する理由はいくつかありますが、最大の理由は法人税の確定申告に必須なためです。
会社は1年間で儲けた利益について、支払うべき税金(法人税)を計算した書類を作成し、税務署に提出(確定申告)を行わなければなりません。
法人税の確定申告書には、上記の記帳を行い作成した「決算書」と呼ばれる書類を添付しなければなりません。
法人税は会社が儲けた利益にかかる税金ですから、その前提となる利益を、会社の家計簿のようなものを基に、上記のように算定します。
従って、記帳はどんな小さい会社であっても必要な作業です。
記帳は難しい
記帳手続きは、領収書や請求書などから記載していく事務手続きがメインです。
従って、記帳手続きそのものにあまり付加価値はなく、実は税理士の独占業務でさえありません。
一般的に、記帳手続きは日本商工会議所が主催する簿記検定の2級(日商簿記2級)レベルがあれば、複雑な取引以外であれば対応可能と言われています。
とはいえ、やはり簿記2級程度の知識は必要であり、クラウド会計による自動記帳だけでは中々むずかしいのが現実です。
たとえば、クラウド会計に頼り切りで人の目が入らないと、当然次のようになります。
- 預金残高がマイナスになっている
- 勘定科目が適切でない(=間違っている)
- 売上が漏れている
- 経費が漏れている
これはよくあるケースです。
科目設定が適切でなく、経費にすべきでないものを経費にしたり、売上が漏れていたりと間違っていると、税務調査が入った際に問題になるのはもちろん、会社の利益管理もまともにできません。
もちろん、税務調査が入れば余計な税金を支払う必要が生じたり、間違った帳簿を作成した結果融資を受けられなくなったりと、ビジネス面においても悪影響が出てきます。
なお、税理士の本業は「税」とつくぐらいですから、税金関連の仕事が本業です。
確定申告書の作成や代理提出、税金に関する相談がメイン業務であり、税理士が行う記帳の代行は、あくまでも確定申告を行うための補助的な業務に過ぎません。
我々としても、別にやりたい業務ではありません。できれば、記帳だけ外注してしまいたいレベルです。
これは、お客様にとってはできないことのため、サポートを行っているに過ぎません。
起業直後は、きちんと記帳も行ってくれる税理士を探しましょう。
記帳を自社で行えば経営判断に役立てられるので会社が大きくなったら自社でやるべき
会社が大きくなると記帳を自社で行う理由を3つご紹介します。
- 会社規模が大きくなると取引数が膨大になるため税理士報酬が高額になる
- 税務調査対策を行うため
- スピード感をもって会社の経営状況を把握するため
記帳を行うのは、単に確定申告を行うためだけでなく、経営判断に役立てるためにも行います。
最初は税理士に丸投げすべき
「会計や税金のことはよくわからない」それが当たり前です。
また、融資を受ける際は税理士が作成した決算書かどうかで信頼度が変わりますし、税務調査が入った際に一人で対応できないでしょう。
適切なサポートを受け、融資や税務調査に耐えうる決算書や申告書を作成するためには、税理士に依頼する必要があります。
小さい会社には経理部を持つ余力はありません。弊社では、起業したばかりの方のサポートを得意としています。
起業時は、まずは売上を作ることが大事です。
\創業3年以内の法人限定/
秋田税理士事務所(秋田県秋田市)