【消費税の国外取引】宇宙は国外?東京都新宿の税理士が解説

消費税は、日本における消費行為(モノを買ったりサービスを受けること等)に対して負担を求める税金です。

従って、当然ですが消費税は外国で行われる取引にかけることができません。

アメリカ人がアメリカで買ったモノに対し、日本の消費税をかけられるわけがないため当然ですね。

この記事では、消費税がかからない国外取引について新宿の税理士 坂根が解説します。

宇宙空間は国内なのか国外なのか、国税庁の見解も確認していきましょう。

消費税とは

消費税は、日本における消費行為に負担を求める税金です。

従って、日本人が外国に行ってお土産を買っても日本の消費税はかかりません。もちろん、外国でお土産を買ったら、日本の消費税はかからなくても外国の消費税がかかる点には注意が必要です。

なお、外国の消費税は付加価値税と呼ばれたり、VAT(Value added tax)、GST(Goods and services tax)等と呼ばれたりしますが、仕組みはどこの国も大体同じようです。

消費税率の変遷

消費税法は1989年にスタートした法律です。

最初は消費税率3%から始まり、5%、8%、そして2019年10月1日からついに2桁10%に上がります。なお、今回の消費税増税は今までの増税と異なり、8%と10%、2つの消費税率が混在するという特徴があります。

厳密に言えば、現在でも3%と5%、8%の税率がいまだに混在しています。ただし、そのようなケースは限定的であり、基本的には消費税率8%のみが用いられています。今回の消費税増税は8%と10%が堂々と混在し、2つの税率に区分する必要があるため、企業に対して多大な負担を与える30年ぶりの大改正となっています。

なお、消費税率10%が高いか?と言われればそういうわけではなく、消費税率が20%を超える国も多々あります。集めた税収がどのように使われているかが違うので一概に比較はできませんが、10%であれば許容範囲の方も多いのではないでしょうか。

消費税法における国内の範囲

話を戻します。

消費税は、国内において行われた取引(モノの販売やサービス提供など)に対して税金をかけています。それでは、国内の範囲はどのように規定されているのでしょうか。条文をかみ砕いて確認していきます。

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(参考:消費税法第5条1項)
事業者は、国内において行った課税資産の譲渡等・・・につき、消費税を納める義務がある。

(参考:消費税法第2条1項一号)
国内 この法律の施行地をいう
**

要するに、日本の法律が及ぶところが国内であり、会社や個人事業主が国内で行ったモノの販売などに対して消費税をかけるとされています。

消費税法の国外取引とは?

日本の法律が及ぶところが国内です。それは地上50km、100kmの高さであっても変わりません。そうすると、日本からスラっと伸びる一直線上にある宇宙空間はどこの国のモノになるのでしょうか。

決まっていません。天体を含む宇宙空間は、どこの国も領有権を主張することができないとされているからです。

つまり、日本の会社が宇宙空間上で取引を行ったとしても、宇宙空間は日本の法律の施行地外であるため、消費税をかけることができないと考えられます。実際、宇宙空間が国内か国外かについて、国税庁に対して文書回答を求めた事例があります(衛星関連事業で)。宇宙空間は、日本国内ではないから国外と同様に取り扱うと考えられています。

(参考)夢の国は国外ではないので課税される

千葉県には、夢の国と呼ばれる遊園地が存在するそうです。

しかし、残念ながら夢の国は日本にあるため、消費税がかかります。

夢の国(遊園地)では消費税率8%・10%のどちらが適用されるか

2019年10月1日から、消費税率が8%から10%に引き上げられます。

しかし、中には軽減税率と呼ばれ、消費税率8%が適用されるものがあります。

対象となるものは新聞と飲食料品です。

なお、飲食料品であっても持ち帰りか外食等かによって消費税率8%・10%のどちらが適用されるか異なる点に注意が必要です。

よって、園内の売店やレストランなど、それぞれ個別で消費税率の判断を行います。

夢の国(遊園地)の消費税率

アトラクションの消費税率

消費税率8%が適用される取引は、新聞と飲食料品です。つまり、アトラクションは飲食料品等ではないため消費税率10%が適用されます。

残念ながら、1時間待とうが2時間待とうが、消費税率は10%です。

園内のレストラン

飲食料品は消費税率8%が適用されますが、レストラン等、飲食設備がある場所で食事を提供された場合、消費税率は10%が適用されます。

それは居酒屋であっても夢の国であっても変わりません。レストランのような飲食設備がある場所における食事は消費税率10%が適用されます。

園内の売店

ここからが本題です。

夢の国には至る所に売店があり、チュロスなどの飲食料品を販売しています。

飲食料品について消費税率8%が適用されるか10%が適用されるかは、テーブルや椅子などの飲食設備があるか否かが論点になっています。

飲食設備があるなら10%、なければ8%。

さて、夢の国では、園内に椅子などの休憩スペースが設置されています。園内に椅子などが設置されている場合、その遊園地内に飲食設備があると判断されて消費税率10%になってしまうのでしょうか。

国税庁の消費税の軽減税率Q&Aに参考となるものが載っていますので確認していきましょう。なお、全文の引用はせず、省略・補足等を行っている箇所がありますのでご注意ください。

***

(参考:消費税の軽減税率Q&A問68)

【問】

弊社は、遊園地を経営しています。

弊社が遊園地内で運営する売店では飲食料品を販売していますが、来園者は園内で食べ歩く他、園内に点在する休憩スペース(ベンチ等)で食事を行うこともあります。

このような場合、遊園地という施設全体が”飲食設備”に該当し、食べ歩きも含めて消費税率10%(軽減税率が適用されない食事の提供)が適用されるのでしょうか。

【答】

消費税率10%が適用される食事の提供とは、飲食設備がある場所における飲食行為を言います。

飲食設備とは、例えば、椅子、カウンター、テーブル、その他飲食のために用いられる設備であれば飲食設備に該当します。

このように、飲食設備とは個々の椅子やテーブル等の飲食に用いられる設備を指すため、ご質問のような遊園地といった施設全体を指すものではありません

その上で、売店にとっての”飲食設備”は、例えば売店の側に設置した椅子やテーブル等、売店の管理が及ぶものが該当します。

つまり、園内に点在している、売店の管理が及ばない休憩スペース(ベンチ等)は、その売店にとっての飲食設備に該当するものではないと考えられます。

従って、飲食料品を園内で食べ歩く場合や、売店の管理が及ばない園内に点在する休憩スペース(ベンチ等)で飲食する場合は、売店にとっては、単に飲食料品を販売しているにすぎないことから、消費税率8%が適用されます。

なお、売店の管理が及ぶ椅子テーブル等で飲食させる場合は食事の提供に該当し、外食同様に消費税率10%が適用されます。従って、販売時に、その場で飲食するか否かの意思確認を行う等によって適用税率(8% or 10%)を判定する必要があります。

***

上記のように、遊園地における消費税をどのように取り扱うべきかについても国税庁は細かくしっかりと定めています。

以上、消費税法における国内の考え方について確認しましたがいかがでしょうか。消費税の考え方は複雑であり、特に国外での取引がある場合に対応できる税理士は数少ないです。

弊社では、外資系企業や上場企業グループの申告に携わってきた税理士が対応しますので、外国の企業と取引を行う予定がある方や、将来的に海外進出を目指す方のサポートも可能です。

なお、起業したのなら早く税理士と顧問契約を結びましょう、悩む時間がもったいないからです。

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