自社株買いのメリットを東京都新宿の税理士が解説
自社株買いって何のメリットがあるんでしょうか?
誰の視点かによって異なりますが、経営権を取り戻すためや、株主還元のために行われることが多いですね。
この記事では、東京都新宿の税理士 坂根が解説します。
自社株買いとは
自社株買いとは、自社の株式(自己株式・金庫株とも呼ばれます)を買うことです。
上場企業が株式市場に流通している自社の株式を買い集める場合や、非上場の中小企業が、株主の分散を防ぐために自社株を買い集める場合があります。
自社株買いのメリット
自社株買いのメリットについて、次の4つの視点で確認していきましょう。
- 投資家(株主)の視点
- 会社の視点
- 従業員の視点
- 社長=株主の視点
1.投資家(株主)の視点
自社株買いを行うと、発行済み株式が減るため、1株当たりの価値が高まります。
つまり、 投資家が保有している株式の資産価値が高くなる(儲かる)というメリットがあります。
また、あまり株価に影響は無いかもしれませんが、発行済株式数が減れば、PERなど、投資判断を行う際の指標が改善します。
会社は株主のものですから、会社の価値が1株当たりいくらになるかという観点で言えば、自社株買いを行い、1株当たりの価値が高まれば、投資家にとってはメリットがあると言えます。
株式など資産運用に関しては以下のメディアで情報発信していますので、こちらのサイトをご覧ください。
2.会社の視点
自社株買いを行うことで、会社にとっては、例えば次の2つのメリットがあります。
- 株主に還元する意向を示せる
- 敵対的買収を防げる
株主に還元する意向を示せる
自社株買いを行えば、一般的に1株当たりの価値が高まります。
そのため、株主であることに メリットがあること(株価が上昇していくメリット)を示せるため、長期間株式を保有してくれる可能性が高まります。
敵対的買収を防げる
ライブドアのおかげで一時期「敵対的買収」という言葉が話題になりましたが、相手の会社の株式を買い集めれば、乗っ取ることもできます。
会社は株主のものです。そして議決権(発言の権利)は1株につき1票あります。
そのため、議決権の過半数(普通株式の発行済株式数の過半数)があれば、 取締役(経営陣)の選任や解任を行うことさえ可能です。
これを防ぐために、自社株買いを行い、経営陣の持ち株比率を高めたり、 1株当たりの価格を高め、買い集めを行いにくくするなどの対策が考えられます。
3.従業員の視点
従業員の視点では自社株買いに特段のメリットはありません。
しかしながら、敵対的買収を防ぐことができるのであれば、自社の経営陣が変わらず、 職務内容の急激な変更などを防ぐことができるかもしれません。
また、従業員に対してストックオプション(株式を一定額で購入できる権利)が付与されている場合には、自社株買いによって株価が上昇すれば、利益を得ることができるというメリットがあります。
4.社長=株主の視点
中小企業で社長=株主の場合、相続対策として自社株買いを行うことがあります。
例えば株主が10人20人とバラバラに分散してしまっている場合、自社株買いを行うことで、経営に携わっている株主一族に株式を集中させることが考えられます。
また、 会社にお金はあるが、社長個人にお金があまり無いケースでは、後継者が相続税の納税資金に困ることがあります(※)。
その場合、社長が持っている株式を会社に買い取ってもらうことで、会社のお金を社長個人に還元することが考えられます。