【罰則あり】粉飾決算とは?なんのメリットがあって行う?税理士が解説
「粉飾決算(ふんしょくけっさん)」という言葉、一度は耳にしたことがあるでしょう。
東芝など、度々ニュースで話題になる粉飾決算。
悪いことだろう、やってはいけないことだろう、というのは皆さんご理解の通りです。
この記事では、粉飾決算とはどのようなことか、粉飾決算を行うとどのような罰則があるか、新宿の税理士 坂根が解説します。
<ポイント>
- 粉飾決算は会社の利益を良く見せる(偽装する)こと
- 利益が出ているので、バレなければ銀行からお金を借りやすい等のメリットがある
- 税金の支払いが増えるデメリットがある
- 粉飾決算に関与した取締役は、刑事上の責任や損害賠償責任を負う
粉飾決算とは
粉飾とは、文字通り「飾る」ことを言います。
それでは、粉飾決算においては何を飾るかわかりますか?
答えは、決算書における利益です。
粉飾決算とは、会社の利益の状況、つまり、損益計算書(PL)などの数値を良く見せる(飾る)ことを言います。
決算書は社長が見るだけでなく、多くの外部の人に見せます。
<ポイント>
- 株主
- 金融機関(銀行)
- 税務署 など
株主や金融機関に決算書を見せる際、儲かっていることを示さなければ株主総会で批判を受け、また、金融機関からは融資を受けにくくなってしまいます。
従って、儲かっているように見せる(粉飾決算を行う)会社が出てきます。
例えば、金融機関は貸したお金がきちんと返ってくるかどうかを重視します。
売上の水増しや架空の売り上げ、経費をごまかして利益が大きく見えるように粉飾をされた場合、見せかけでは返済能力があるように見えてしまいます。
しかし、実際は大して儲かっておらず、貸したお金が返ってこないような場合、金融機関は多大な損害を被ります。
これは一例ですが、粉飾決算は外部の関係者に迷惑をかけるうえ、当然、経営者自身も刑事上の責任等を負うことになるのでやってはいけない行為です。
粉飾決算の手口
粉飾決算の手口は色々あります。
存在しない売上を計上する架空売上(かくううりあげ)を筆頭に、棚卸の在庫を調整することで原価を少なく見せる方法(=利益が増える)、かつては、費用を資産に振り替える方法等も横行していました。
いずれも、利益を大きく見せる方法です。
(参考)決算書の作成目的は大きく3つ
損益計算書(PL)や貸借対照表(BS)等、会社の経営成績や財政状態を示した資料を決算書と言います。
これら決算書は、大きく以下の3点を目的に作成が行われます。
<ポイント>
- 株主への報告や融資を受けるためなど、外部の利害関係者に会社の経営状態を報告する目的
- 経営改善に役立てるなど、内部資料として活用する目的
- 法人税等の確定申告に使用する目的
※「決算書の種類や作成目的など、創業融資に強い新宿の税理士が解説」の記事でより詳しく解説しています。
粉飾決算は、上記の1番、外部の人の目を意識して行われます。
粉飾決算という行為は、株主や金融機関など、外部関係者からの評価を上げるために行われる行為です。
粉飾決算のメリット
粉飾決算を行うと、利益を大きく見せられます。
つまり、儲かっているように見せることができます。
銀行からお金を借りやすくなる、株主から、なんで儲かっていないんだと批判されない等のメリットがあります。
ただし、もちろん、やってはいけません。バレたら銀行は大損しますし、株主も株価が暴落して大損してしまいます。
粉飾決算に関与した取締役の責任
粉飾決算に関与した取締役は、刑事上の責任や損害賠償責任を負う可能性があります。
粉飾決算を行った結果、会社に財産上の損害を与えた場合は特別背任罪として刑事上の責任を追及される恐れがあります。
また、粉飾決算によって違法配当が行われた場合、配当を受けた株主は原則として配当分を返還しなければなりません。
なお、違法配当を行った取締役は、刑事上の責任や損害賠償責任を負うことがあります。
粉飾決算を行うと税金の支払いは増える
粉飾決算を行うと税金の支払いが増えます。
なぜなら、法人税等の税金は、会社の利益に対して課税されるからです。
会社が儲かっているように見せる場合、それに比例して税金の支払いも増えます。
ちなみに、粉飾決算が行われていても、税務署は特に文句を言わないことが一般的です。
なぜなら、より多くの税金を支払ってくれるのであれば税務署は黙ってそれを受け取るからです。
粉飾決算は外部関係者の信用を損ねるだけでなく、そもそも犯罪行為であり、また、多額の税金を支払う愚かな行為です。
もちろん、まともな税理士が関与していれば粉飾決算は止めるでしょうが、最近は、止めても自分にメリットがなければ関知しないという人も増えてきています。親身に相談に乗ってくれる税理士を探しましょう。
粉飾決算をしても、仮に一時的には良くても後で困る
粉飾決算は犯罪行為です。
「このままでは金融機関からお金を借りられない」という状況であってもです。
まずは資金繰り改善のためにできることを進めていき、自社の財務状況を根本から改善していくか、最終手段として廃業を検討することも一つの手でしょう。
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