会社設立

法人化の利益目安が1,000万円である理由を税理士が解説

坂根崇真

税理士 / 坂根 崇真(秋田税理士事務所)

【肩書】 秋田税理士事務所 代表税理士、㈳全国第三者承継推進協会 理事、㈱坂根ホールディングス代表取締役 【著書】 会社を立ち上げる方法と7つの注意点 相続実務のツボとコツがゼッタイにわかる本 (出版社:秀和システム) 【メディア実績】 Yahoo!ニュース、livedoor ニュース、Smart News、幻冬舎GOLD ONLINE 、現代ビジネス ほか

悩んでいる人
個人事業主として活動していますが、法人化する利益の目安はいくらくらいでしょうか

利益ベースで言うなら1,000万円が一つの基準です。ただ、ビジネスとして成長させていくつもりがあるなら最初から法人化しても良いでしょう。

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法人化の利益目安は1,000万円、法人化3つのポイント

法人化することにより、個人事業主の場合と比べて税金面でのメリットを享受できる場合があります。ただし、会社を設立すればコストも多くかかるため、純粋に税金面だけ考えると痛い目にあうかもしれません。

そのため、もし「コストを削減する」という目的であれば、その利益は1,000万円が一つの目安となります。その理由やポイントは大きく次の3つです。

ポイント

  • 会社設立すればコストは増える
  • ビジネスを成長させたい場合に法人化すべき
  • 利益が安定して1,000万円以上ならコスト削減目的での法人化はアリ

会社設立すればコストは増える

会社設立の手続き一つとっても、登録免許税や定款認証手数料などのコストが10万円~30万円程度はかかります。

また、会社設立後は赤字であっても毎年法人住民税の均等割81,600円(秋田市の場合は秋田県21,600円+秋田市60,000円。地域や年度によって変わります)が最低でもかかります。

また、法人の手続きは個人事業主と比べるとかなり増え、税金面一つとっても法人税や消費税の申告だけでなく、法定調書や源泉所得税の納付など、手続きが多く煩雑です。税理士や社会保険労務士の関与が必要になるため、単純に個人事業主の頃と比べてコストは増えるのが一般的です。

税金面のみで比較したら確かに所得が600万円程度で法人化した方が有利になるかもしれませんが、会社は個人と別物です。

手続きが増え、コストも増えるのが一般的です。そのため、コスト削減目的であれば利益1,000万円程度が一つの目安となります。

ビジネスを成長させたい場合に法人化すべき

単純にコスト削減目的であれば利益1,000万円が法人化の一つの目安となりますが、法人化のタイミングはビジネスベースで考えることをおすすめします。

世の中には、最初から個人事業主でスタートせずに法人を作る人も多くいます。

今行っているビジネスを成長させる意欲があれば、利益が1,000万円なくても法人化して、退路を断ってしまうのも一つの手です。

利益が安定して1,000万円以上ならコスト削減目的での法人化はアリ

利益が安定して1,000万円以上ならコスト削減目的での法人化も良いでしょう。

今年は2,000万円稼いだので法人化したけど、次の年は500万円しか利益が残らなかったという方も結構います。

また、利益が2,000万円あっても来年どうなるかわからないということで法人化しない人も多くいます。

会社をたたむ(解散する)にもお金がかかります。結局はビジネスを成長させる意欲がある場合に限って法人化するのが良いでしょう。

法人化の目安となる売上高はいくら?

悩んでいる人
利益がいくら出るかは判断がむずかしいので売上高ベースで法人化を検討したいのですが、いくらくらいが目安になるのでしょうか

利益ベースで検討することが望ましいですが、売上高を目安とする場合、1,000万円もしくは3,000万円が一つの目安となります。

売上高1,000万円

売上高が1,000万円を超えた2年後から消費税の申告・納付義務が発生します。

しかし、個人と法人は別物ですから、法人化をすると、この1,000万円の判定がリセットされます。

そのため、売上が1,000万円を超えた段階で法人化を検討される方が多いです。

ただ、インボイス制度導入に伴い、この基準はあまり意味がなくなってきています。

売上高3,000万円

売上高が3,000万円あれば、業種によりますが利益が1,000万円以上残る方もでてきます。

また、売上高3,000万円は個人の限界となるケースが多く、人を採用したり組織化しないとこれ以上伸びないという方が多いです。

そのため、売上高3,000万円程度で法人化を行い、きちんと融資を受けたり従業員を採用したりというケースが多いです。

このように、売上高ベースで法人化を検討する場合には売上高1,000万円もしくは3,000万円が一つの目安となります。

法人化する際の手続き

法人化する際の手続きを簡単に説明すると次の通りです。

step
1
会社設立する

step
2
個人の資産を会社に移動させる

step
3
個人事業主の廃業手続きを行う

会社設立する

個人事業主から法人化する際、まずは会社を設立する必要がありますが、大きく次の3つの手続きがあります。

  • 定款(会社のルール)を作成する
  • 資本金を振りこむ
  • 法務局に登記する

定款(会社のルール)を作成する

定款は会社を設立する際に必要になるものであり、わかりやすく言うと会社のルールを定めた書類です。

絶対に記載しなければならない事項などがあり、記載漏れがある場合は設立できませんので、きちんと作成する必要があります。

資本金を振りこむ

会社を設立するためには資本金を用意する必要があります。

資本金はわかりやすく言えば会社の「軍資金」です。仕入やオフィス備品の購入など、事業に充てるためのお金を資本金と呼びます。

なお、この段階ではまだ会社の設立が完了していないため法人の銀行口座は存在しません。そのため、株主となる方(通常、社長となる方)の預金口座から、別の個人の預金口座に振り込み、その振り込んだ履歴をもって資本金を振り込んだ扱いとします。

法務局に登記する

定款などの書類を作成した後、法務局に登記を行うことで会社設立は完了します。これによって、国が正式に会社として認めてくれるようになります。

なお、その後税務署や県税事務所、市税事務所、年金事務所など各機関に手続きを行う必要があるため、「よし手続きが終わった!」と勘違いして大きな失敗をする方もいます。

そのため、設立の段階から専門家に携わっていただくことをおすすめします。

個人の資産を会社に移動させる

個人事業主から法人化をしたとしても、個人と法人は別の存在です。

そのため、単純に預金口座を個人口座から法人口座に移動させるだけであったり、借入を引き継いだり、備品を法人のものとするなど勝手にすると税務面で大変なことになる場合があります。

資産を個人から法人に移動させるには売買契約や賃貸借契約、あるいは現物出資を行うなど複数の方法があります。

やり方によっては所得税や法人税が余分にかかってしまう場合もあるため、個人の資産を会社に移動させる場合には税理士に依頼をしましょう。

個人事業主の廃業手続きを行う

法人化することによって個人事業主としての活動は行わなくなるということであれば個人事業主の廃業手続きを行います。

税務署等に、廃業届や青色申告の取りやめの届出などを提出します。

法人化する際の注意点3選

法人化する際の注意点3選を紹介します。

  • 従業員は社会保険に強制加入
  • 社長の給与は毎月定額
  • 赤字でも税金を払わないといけない

従業員は社会保険に強制加入

個人事業主として従業員を雇う場合、5人未満など一定の条件下であれば社会保険(健康保険・厚生年金保険)は任意加入とされています。

一方で、法人化をすると従業員の社会保険は強制加入です。

しかも、従業員の社会保険料の半分を会社が負担しなければなりません。そのため、従業員がいる場合、法人化をすると通常負担が増加します。

社長の給与は毎月定額

「自分の会社だから給与は自分で毎月決める」ということはできません。

個人と会社は切り分けなければいけません。法人税法上も、社長の給与は毎月同額にしないと経費にならないというようなルールがあります。

厳密には色んなやり方がありますが、今月は100万円、来月は50万円みたいな設定は原則できません(しても良いですが経費になりません)。

毎月給与を勝手に変えられる場合、会社の利益や税額を操作できてしまうことにつながるため、基本的には年度の初めに「今年の給料は毎月60万円」といったように設定を行います。

個人事業主の頃と比べると、どうしても窮屈になる側面があるので法人化する際はやはりビジネスベースで考えることをおすすめします。

赤字でも税金を払わないといけない

上述したように、法人化すると赤字でも毎年法人住民税の均等割り81,600円(秋田市の場合、秋田県21,600円+秋田市60,000円。地域や年度によって変わります)を支払わなければいけません。

そのため、たいして利益が出ていない場合、個人事業主の頃と比べて税負担が増える場合もあります。

また、利益が少ない場合は税率も個人事業主より法人の方が高いケースもありますので、必ずしも法人化するのが良いわけではありません。

既に稼いでいる、もしくはこれから稼ぐという場合に法人化を行いましょう。

法人化に関するよくある質問

法人化するとどのくらい節税効果があるのでしょうか?

法人化によって得られる節税効果は、利益額等によって異なりますが、安定して1,000万円以上の稼ぎがないなら法人化による節税額は誤差レベルです。

数百万円レベルの稼ぎであれば正直個人事業主のままで十分です。コスト削減目的であれば、1,000万円以上の利益が残っているなら法人化を検討しても良いでしょう。

法人化はビジネス上の理由をベースとして考えることをおすすめします。

法人化にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか?

株式会社で概ね30万円、合同会社で概ね10万円程度です。

法人化するためには会社の登記費用(登録免許税)、定款認証手数料、印紙税、公告費用などがかかります。

これに加えて専門家へのサポートを依頼する場合には通常5万円から15万円程かかります(サポート範囲によって異なります)。

法人化によって得られるメリットは何ですか?

法人化によって得られるメリットとして一番大きいのは信用度の向上です。個人事業主から法人に移行することで、取引や従業員の採用で有利になったりするというビジネス上のメリットが大きいです。

また、個人と会社を切り分けることができるため、融資を受ける際も個人の保証がいらないケースもあります。

 法人化はどのタイミングで行うのが良いですか?

法人化を検討するタイミングは、事業の規模や成長戦略によって異なりますが、一般的には、個人事業主のビジネスが安定してきた段階で法人化を検討することが多いです。

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坂根崇真

税理士 / 坂根 崇真(秋田税理士事務所)

【肩書】 秋田税理士事務所 代表税理士、㈳全国第三者承継推進協会 理事、㈱坂根ホールディングス代表取締役 【著書】 会社を立ち上げる方法と7つの注意点 相続実務のツボとコツがゼッタイにわかる本 (出版社:秀和システム) 【メディア実績】 Yahoo!ニュース、livedoor ニュース、Smart News、幻冬舎GOLD ONLINE 、現代ビジネス ほか

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