売上(年商)5,000万円超は税金が増える!起業に強い税理士が解説
売上が5,000万円を超えると、税金の支払いが大幅に増える場合があります。
税務上の留意点の一つとして売上高1,000万円の壁というものがあります(詳細:売上(年商)1,000万円を超えると消費税課税:起業に強い税理士が解説)。
「1,000万円の壁」とは、2年前の課税売上高(消費税がかかる売上)が1,000万円以下の場合は消費税を国に支払う必要が無く、税込108円で商品を売ったら108円が利益になる一方、2年前の課税売上高が1,000万円超の場合は消費税8円を国に支払う必要があり、100円しか利益にならないというものです。
消費税の規定においては、売上高1,000万円の壁の他に5,000万円の壁があります。この記事では、新宿の税理士 坂根が解説します。
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課税売上高5,000万円の壁を超えると消費税の簡易課税が使えなくなる
原則として、2年前の課税売上(消費税がかかる売上)が1,000万円超などの事業者は、消費税を国に支払う義務があります(詳細:売上(年商)1,000万円を超えると消費税課税:起業に強い税理士が解説)。
税金(消費税)を国に支払わないといけないことは確実ですが、消費税の計算方法には大きく2種類、原則計算と簡易課税という計算方法があります。
原則計算
事業者が国に支払わないといけない消費税は、売上に係る消費税(消費者から預かった消費税)から、仕入れに係る消費税(ご自身が負担した消費税)を差し引いて計算を行います。
例えば税抜100円で商品を仕入れ、税抜300円で消費者に販売した場合、次のように計算された金額を国に支払います。
300円×8% – 100円×8% = 16円
この16円を懐に納めず、事業者が国に支払うことになります。
実際の計算はもっと複雑ですが、簡単に説明すると上記の仕組みとなっています。
簡易課税
節税できる場合がある
事業者が国に支払わないといけない税金(消費税)の計算方法に、「簡易課税」という方法があります。
何が簡易なのかというと、仕入れに係る消費税(負担した消費税)を把握しなくて良いところが簡易です。
上記の例と同じく、小売業が税抜100円で商品を仕入れ、300円で販売した場合、以下の計算が行われます。
300円×8% – 300円×8%×80%(後述のみなし仕入率) = 5円
上記で説明した消費税の原則的な計算の場合、国に支払わないといけない税金(消費税)は16円でしたが、簡易課税を使った場合は5円になりました。
全く同じ取引をしているにも関わらず、11円(16円 – 5円)の節税に成功しています。
なぜ同じ取引でも税金に差が出るのかといえば、簡易課税の場合は仕入100円部分を計算に織り込んでいないためです。
2年前の売上が5,000万円以下の中小企業に限る
この簡易課税制度、2年前の売上が5,000万円以下の中小企業についてしか適用を受けることができません。
中小企業の事務負担軽減の観点から、仕入れに係る消費税を概算(みなし仕入率)で計算できる仕組みになっています。
従って、実際の仕入率よりもみなし仕入率の方が高い場合、一般的に節税につながります(みなし仕入率は業種等によって異なります。
詳しくは国税庁タックスアンサー 消費税No.6509 簡易課税制度の事業区分 をご覧ください。
なお、2年前の売上が5,000万円を超える場合は、消費税の簡易課税が使えなくなるため、業種によっては税負担が増える場合がある点注意が必要です。
ただし、会社の業績を伸ばすためには、ささいな税負担よりも利益を考えることが大切です。
売上高5,000万円の壁は突破し、どんどん利益を出していきましょう。
消費税還付を受けたい場合は原則計算
なお、上記で説明した消費税の簡易課税制度は、消費税の節税につながる場合がある一方で、消費税の還付を受けられなくなる点に注意が必要です。
消費税還付というのは、売上に係る消費税よりも仕入れに係る消費税の方が大きい場合(設備投資などを行った場合)に生じます。
消費税の簡易課税制度は、設備投資を含むすべての仕入れに係る消費税を無視して税額計算を行います。
売上に対して決められたみなし仕入率をかけて計算するため、簡易課税を選択すると100%消費税の還付を受けられない仕組みになっています。
従って、消費税還付を受けたいのであれば原則計算一択です。
上記は一例ですが、消費税はとても複雑な仕組みをしています。
高額な固定資産を購入する場合などは消費税の還付を受けられる場合がありますが、一歩誤ると無駄な税金を支払うことになってしまう場合があります。
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